プログラミング言語の設計図: バッカス・ナウア記法
ITの初心者
先生、『バッカス・ナウア記法』って何か、よくわからないんです…。
ITアドバイザー
そうか。では、例えばコンピュータに「計算」をさせたい時、どのように指示を出すかを考えてみよう。
ITの初心者
えっと…、例えば「10と20を足して」と指示を出す…とか?
ITアドバイザー
いいぞ! でも、コンピュータにわかるように、もっと厳密なルールで指示を出す必要があるんだ。そのルールを決めるための記法の一つが『バッカス・ナウア記法』なんだよ。
バッカス・ナウア記法とは。
「バッカス・ナウア記法」っていうのは、コンピューターのプログラムの言葉の作り方を決めるのに使われる言葉のことです。これは、1959年にアメリカのジョン・バッカスさんっていう人が考え出して、その後、デンマークのピーター・ナウアさんっていう人がちょっと直したものです。この言葉の名前は、この二人の人の名前をくっつけてつけられました。長いので「バッカス記法」とだけ呼ばれることもありますし、「Backus-Naurform」の頭文字をとって「BNF」と呼ばれることもあります。それから、「BN記法」と呼ばれることもあります。
文法を定義する言語
人間が日常的に使う言葉は、コンピュータには複雑すぎてそのままでは理解できません。コンピュータに指示を出すには、厳密なルールに基づいたプログラミング言語を使う必要があります。しかし、そのプログラミング言語自身も、コンピュータが理解できる形で定義されている必要があります。では、どのように定義すればよいのでしょうか?そこで登場するのが「バッカス・ナウア記法(BNF)」です。BNFは、プログラミング言語の文法を、コンピュータにも理解できる明確な形で記述するためのメタ言語として機能します。
例えるなら、プログラミング言語を家を建てるための設計図と考えると、BNFはその設計図の書き方を定めたルールブックのようなものです。家を建てるには、設計図が必要です。しかし、設計図を描く人によって書き方が違っていては、家を建てる人が困ってしまいます。BNFは、設計図の記号や線の意味を明確に定めることで、誰が見ても unambiguous な設計図を作成できるようにします。
このように、BNFはプログラミング言語を定義する上で欠かせない役割を担っています。BNFによって定義された文法規則に従って、コンパイラやインタプリタといったソフトウェアが開発され、私たちがプログラミング言語を使ってコンピュータに指示を出せるようになっているのです。
概念 | 説明 | 例え |
---|---|---|
人間の言葉 | コンピュータには複雑すぎて理解できない | – |
プログラミング言語 | コンピュータに指示を出すための厳密なルールに基づいた言語 | 家を建てるための設計図 |
バッカス・ナウア記法 (BNF) | プログラミング言語の文法を、コンピュータにも理解できる明確な形で記述するためのメタ言語 | 設計図の書き方を定めたルールブック |
コンパイラ/インタプリタ | BNFで定義された文法規則に従って、プログラミング言語をコンピュータが理解できる形に変換するソフトウェア | 家を建てる人 |
バッカスとナウアの貢献
– バッカスとナウアの貢献コンピュータに命令を伝えるための手段として、プログラミング言語は欠かせない存在です。数多くのプログラミング言語が存在する中で、その構造を明確に定義する方法を生み出したのが、アメリカの計算機科学者であるジョン・バッカスと、デンマークの計算機科学者であるピーター・ナウアです。彼らが開発に貢献した方法が、バッカス・ナウア記法、通称BNFです。BNFは、プログラミング言語の文法規則を簡潔に表現するための記法です。ジョン・バッカスは、1959年にALGOL60というプログラミング言語の定義のために初めてこの記法を導入しました。バッカスは、それ以前にも、世界で初めて広く使われるようになった高水準プログラミング言語であるFORTRANの開発にも携わっており、プログラミング言語の黎明期に大きな役割を果たした人物として知られています。バッカスが考案した記法は、その後、ピーター・ナウアによってさらに洗練され、拡張されました。ナウアは、ALGOL60の文法をより厳密に定義するために、バッカスの記法に改良を加えました。 こうして生まれたのが、現在私たちがBNFと呼んでいる記法です。二人の名前からバッカス・ナウア記法と名付けられたBNFは、その後、多くのプログラミング言語の定義に用いられ、コンピュータ科学の発展に大きく貢献しました。BNFは、単にプログラミング言語の定義だけでなく、データ形式や通信プロトコルなど、様々な分野で記述の手段として利用されています。これは、BNFが文法規則を明確かつ簡潔に記述できる柔軟な記法であることを示しています。
人物 | 貢献 |
---|---|
ジョン・バッカス |
|
ピーター・ナウア |
|
BNFの記述方法
– BNFの記述方法BNF(バッカス・ナウア記法)は、プログラミング言語などの文法規則を明確かつ簡潔に記述するためによく用いられるメタ言語です。記号を用いることで、人間にも機械にも理解しやすい形で文法を表現することができます。BNFの基本的な記述ルールとして、「=」という記号は「左辺は右辺で定義される」ということを表します。例えば、「<文> = <主語><述語>」と記述した場合、「文は主語と述語で構成される」という規則を定義したことになります。また、「|」という記号は「または」を意味し、複数の選択肢がある場合に使用します。例えば、「<数字> = 0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9」と記述した場合、「数字は0から9までのいずれかである」という規則を定義したことになります。これらの記号を組み合わせることで、より複雑な文法規則も明確に記述することができます。例えば、整数を定義する場合、BNFでは「<整数> = <数字> | <数字><整数>」のように記述します。これは、「整数は数字一つだけ、または数字と整数の組み合わせで構成される」という意味になります。この定義により、「1」や「123」といった数字列が整数として認識されるようになります。このように、BNFは記号を用いることで、複雑な文法規則も明確かつ簡潔に記述することを可能にする強力なツールです。
記号 | 説明 | 例 |
---|---|---|
= | 左辺は右辺で定義される | <文> = <主語><述語> |
| | または | <数字> = 0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 |
様々な表記と応用
– 様々な表記と応用
BNFは、基本的な記法に加え、より複雑な文法を簡潔に表現するために拡張された記法も存在します。
例えば、ある記号が複数回繰り返される場合や、複数の記号列のうちいずれか一つが出現する場合などを、簡潔に記述することができます。
こうした拡張記法を用いることで、より現実的で複雑なプログラミング言語の文法を、分かりやすく定義することが可能になります。
BNFの応用範囲は、プログラミング言語の文法定義だけにとどまりません。
データ形式や通信プロトコルなど、情報を構造的に表現する必要がある様々な場面で、BNFは活用されています。
例えば、XMLやJSONなどのデータ形式は、BNFを用いてその構造を厳密に定義することが可能です。
このように、BNFは情報を体系的に表現するための共通言語として、幅広い分野で利用されています。
その汎用性の高さから、BNFは情報科学の基礎を支える重要な概念の一つと言えるでしょう。
BNFの基礎 | BNFの拡張 | BNFの応用 |
---|---|---|
– 文法を定義するための記法 – プログラミング言語の文法を表現 |
– 繰り返しや選択など、より複雑な文法を簡潔に表現 – より現実的で複雑なプログラミング言語の文法定義が可能 |
– プログラミング言語の文法定義 – データ形式(XML、JSONなど) – 通信プロトコル – 情報を構造的に表現する必要がある様々な場面 |
BNFの学習
– BNFの学習BNF(バッカス・ナウア記法)は、プログラミング言語の文法を表現するために用いられるメタ言語です。文法とは、その言語で正しいプログラムを記述するための規則のことです。BNFを用いることで、人間にも機械にも理解しやすい形で、厳密に文法を定義することができます。情報科学を深く理解するためには、BNFの学習は非常に重要です。特に、プログラミング言語の設計やコンパイラの開発といった分野において、BNFは欠かせない知識となっています。コンパイラは、私たちが書いたプログラムを、コンピュータが理解できる機械語に変換する翻訳機の役割を担っています。 BNFで記述された文法は、コンパイラがプログラムの構造を解析する際の基盤となるのです。情報系の学生はもちろんのこと、プログラミング言語に興味のある方であれば、BNFを学ぶことを強くおすすめします。BNFを学ぶことで、普段何気なく使用しているプログラミング言語の背後にある複雑な構造を理解することができます。 プログラミング言語に対する理解が深まることで、より高度なプログラミング技術を習得することにも繋がるでしょう。そして、それはひいては、より高品質なソフトウェアの開発に貢献することに繋がっていくのです。
BNF(バッカス・ナウア記法) | 説明 |
---|---|
定義 | プログラミング言語の文法を表現するためのメタ言語 |
用途 | 人間にも機械にも理解しやすい形で、厳密に文法を定義する |
メリット | – プログラミング言語の設計やコンパイラの開発に欠かせない知識 – コンピュータがプログラムの構造を解析する際の基盤となる – プログラミング言語の背後にある複雑な構造を理解できる – より高度なプログラミング技術を習得することに繋がる |
対象者 | – 情報科学を深く理解したい人 – プログラミング言語の設計やコンパイラの開発者 – 情報系の学生 – プログラミング言語に興味のある人 |