OS/2:IBMとマイクロソフトが生み出したOS
ITの初心者
先生、「OS/2」って初めて聞きました。どんなものなんですか?
ITアドバイザー
よくぞ聞いてくれました!「OS/2」は、パソコンにいろんな仕事をさせるための、いわば「司令塔」の役割をするソフトで、昔、IBMとマイクロソフトって会社が一緒に作ったんだよ。
ITの初心者
へえー、そうなんですね。それで、OS/2はどんなことができるんですか?
ITアドバイザー
今使われているWindowsと大体同じようなことができるんだよ。ただ、当時はまだパソコンの性能が低かったから、今ほどたくさんの機能はなかったんだ。
OS/2とは。
「『オーエス・ツー』という、コンピューターに関係する言葉があります。これは、アメリカの会社「アイ・ビー・エム」と「マイクロソフト」が共同で開発した、パソコン向けの、コンピューターを動かすための基本ソフトのことです。最初のバージョンは1987年に発売されました。この言葉は、『オペレーティングシステム・ツー』のそれぞれの単語の最初の文字をとってつけられました。」
OS/2とは
– OS/2とはOS/2は、1987年にアメリカの巨大コンピューター企業であるIBMと、ソフトウェア開発で有名なマイクロソフトが共同で開発した、パソコン向けのオペレーティングシステムです。当時、パソコンといえばMS-DOSが主流でしたが、OS/2はその後継となるべく開発されました。MS-DOSは、一度に一つの作業しかできないという制限がありましたが、OS/2は複数の作業を同時に行える「マルチタスク」に対応していました。そのため、文書作成を行いながら、同時に表計算ソフトを使うといった、効率的な作業が可能になりました。また、MS-DOSでは文字のみの画面でしたが、OS/2では視覚的にわかりやすい「グラフィカルユーザーインターフェース(GUI)」を採用し、より直感的な操作を実現しました。OS/2は「Operating System/2」の略称で、IBMのパーソナルコンピューターであるPS/2シリーズに搭載されたことから、その名が付けられました。しかし、その後IBMとマイクロソフトの開発方針の違いから、両社は共同開発を解消することになります。結果として、OS/2はマイクロソフトのWindowsに市場を奪われることになりましたが、安定性や堅牢性に優れていたことから、一部の企業やユーザーの間では根強い人気を誇りました。
項目 | 内容 |
---|---|
OS/2とは | IBMとマイクロソフトが共同開発したパソコン向けOS |
開発の背景 | MS-DOSの後継として、マルチタスクやGUIを実現するため |
特徴 | – マルチタスク対応 – グラフィカルユーザーインターフェース(GUI)採用 |
名前の由来 | IBMのパーソナルコンピューター「PS/2」シリーズに搭載されたため |
その後の動向 | IBMとマイクロソフトの開発方針の違いから共同開発を解消 – マイクロソフトのWindowsに市場を奪われる – 一部の企業やユーザーからは、安定性や堅牢性で根強い人気 |
OS/2の特徴
OS/2は、1980年代後半から1990年代にかけて、パソコン用のOSとして注目を集めました。当時の主流であったMS-DOSなどのOSと比較して、先進的な機能を多く搭載していたことが特徴です。
特に、OS/2の最大の特長として挙げられるのがマルチタスク機能です。これは、複数のアプリケーションを同時に実行できる機能であり、当時のパソコン利用者の生産性を飛躍的に向上させました。例えば、文書作成を行いながら表計算ソフトでデータ分析を行い、さらに通信ソフトで情報をやり取りするといった作業を、一つの画面で行うことが可能になりました。
また、OS/2は、GUI(グラフィカルユーザーインターフェース)を採用したことも革新的でした。GUIは、アイコンやウィンドウなどを用いた視覚的な操作環境を提供するため、従来のコマンド入力方式と比べて、直感的で分かりやすい操作を実現しました。このGUIの登場により、パソコンはより多くのユーザーにとって扱いやすいものへと進化していきました。
特徴 | 説明 |
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時代背景 | 1980年代後半から1990年代にかけて、MS-DOSが主流の時代に登場 |
マルチタスク機能 | 複数のアプリケーションを同時に実行可能。文書作成、データ分析、情報やり取りなどを一つの画面で行うことが可能に |
GUI採用 | アイコンやウィンドウを用いた視覚的な操作環境を提供。直感的で分かりやすい操作を実現 |
IBMとマイクロソフトの共同開発
– IBMとマイクロソフトの共同開発OS/2は、1980年代後半から1990年代にかけて人気を博したパソコン用オペレーティングシステムです。 当初は、IBMとマイクロソフトという、コンピュータ業界の巨頭2社が共同で開発していました。両社は、当時急成長していたパソコン市場において、協力関係を築き、革新的なオペレーティングシステムを生み出そうとしていました。IBMは、長年メインフレーム市場で圧倒的な地位を築いており、ハードウェアの設計・製造において高い技術力を持っていました。一方、マイクロソフトは、パソコン用ソフトウェアの分野で頭角を現し、特にMS-DOSの成功により、オペレーティングシステム開発のノウハウを蓄積していました。 両社の強みを結集することで、当時主流であったMS-DOSの機能や操作性を大幅に向上させた、次世代のオペレーティングシステムを生み出せると期待されていました。しかし、後にマイクロソフトが独自に開発を進めたWindowsが大きな成功を収めると、両社の関係は次第に悪化していきました。 異なる戦略や市場での競争激化などが原因となり、両社は袂を分かつことになりました。その結果、OS/2の開発はIBM単独で継続されることになりました。IBMは独自の技術力を投入し、OS/2の機能強化や改良を重ねて、ビジネス市場を中心に一定のシェアを獲得しましたが、Windowsの勢いを覆すには至りませんでした。
項目 | 内容 |
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OS/2 | IBMとマイクロソフトが共同開発したパソコン用OS |
開発時期 | 1980年代後半〜1990年代 |
開発の背景 |
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IBMの強み | ハードウェアの設計・製造技術 |
マイクロソフトの強み | パソコン用ソフトウェア、OS開発のノウハウ |
開発の結末 |
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OS/2の衰退
OS/2は、当時としては画期的な機能を数多く搭載し、将来を期待されたパソコン向けの基本ソフトでした。しかし、マイクロソフト社が開発したWindowsの勢いに押され、広く普及するには至りませんでした。
OS/2は、Windowsよりも優れた点も多かったのですが、価格が高く、対応ソフトが少なかったことが、ユーザー獲得の妨げとなりました。一方、Windowsは安価で、対応ソフトも多く、一般ユーザーからの人気を集めました。
さらに、マイクロソフト社は、自社のアプリケーションソフトをWindows向けに最適化し、OS/2との互換性を意図的に低くしました。この戦略により、多くのユーザーがWindowsを選択せざるを得なくなり、OS/2のシェアは急速に低下しました。
結果として、OS/2は、1990年代後半には、ほとんど使われなくなりました。革新的な機能を持っていたにもかかわらず、市場の競争に敗れたOS/2は、技術の進歩と競争の激しさを象徴する存在と言えるでしょう。
項目 | OS/2 | Windows |
---|---|---|
機能 | 画期的 | – |
価格 | 高価 | 安価 |
対応ソフト | 少ない | 多い |
マイクロソフト社製ソフトとの互換性 | 低い | 高い |
結果 | 普及せず | 広く普及 |
OS/2が残したもの
OS/2は、市場において大きな成功を収めることはできませんでしたが、その革新的な技術や設計思想は、その後のパソコンOSの進化に大きな影響を与えました。
特に、マイクロソフトが開発したWindows NTは、OS/2の技術を参考に開発されたと言われています。Windows NTは、OS/2と同様に、安定性やセキュリティ、そしてハードウェアの互換性などに重点を置いて設計されました。これらの特徴は、Windows NTをサーバーOSとして成功に導き、その後のWindows OSの基礎を築く上で重要な役割を果たしました。
また、OS/2の開発で培われた技術は、IBMの他の製品にも活かされました。例えば、IBMのメインフレームで使用されているOSであるz/OSは、OS/2の技術を応用して開発されました。このように、OS/2は、IBMの技術力の高さを示すとともに、その後の技術開発にも大きく貢献しました。
OS/2は、市場での成功という点では、他のOSの影に隠れてしまいました。しかし、その革新性や先進性は、後のOSに大きな影響を与え、パソコンOSの歴史に確かな足跡を残しました。OS/2は、パソコンOSの可能性を広げた、重要なOSと言えるでしょう。
項目 | 内容 |
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OS/2の市場での成功 | 成功しなかった |
OS/2の特徴 | 革新的な技術や設計思想 安定性、セキュリティ、ハードウェアの互換性 |
OS/2の影響 | – Windows NTの開発に影響 – IBMの他の製品(z/OSなど)にも技術が応用 |
OS/2の評価 | – 市場では成功しなかったが、後のOSに大きな影響を与えた – パソコンOSの可能性を広げた重要なOS |