ネイティブプログラムを理解する
ITの初心者
先生、「ネイティブプログラム」ってよく聞くんですけど、どういう意味ですか?
ITアドバイザー
良い質問だね。簡単に言うと、コンピュータが直接理解できる言葉で書かれたプログラムのことだよ。人間が書いたプログラムを、コンピュータが理解できる言葉に変換したものと考えても良いね。
ITの初心者
コンピュータが直接理解できる言葉…って、具体的にはどういうことですか?
ITアドバイザー
例えば、人間がプログラミング言語で書いたプログラムを、機械語と呼ばれるコンピュータ専用の言葉に変換する必要があるんだ。この機械語で書かれたプログラムのことをネイティブプログラムと呼ぶんだよ。そうすることで、コンピュータは命令を直接実行できるから、処理速度が速くなるんだ。
native programとは。
コンピュータに関連する言葉「ネイティブプログラム」(つまり、オブジェクトコード。詳しくはオブジェクトコードを見てください。)について
はじめに
人間と計算機では、言葉の理解方法が大きく異なります。私たち人間は、日本語や英語など、高度な言語を使って考えや指示を表現します。この表現方法は、様々な意味やニュアンスを含めることができ、複雑な事柄も伝えることができます。しかし、計算機はそうではありません。計算機が直接理解できる言葉は、機械語と呼ばれるごく単純な命令の列だけです。これは、0と1の組み合わせで表現される、いわば計算機にとっての「母国語」のようなものです。
私たちが計算機に指示を出す場合、まず人間が理解しやすい言葉でプログラムを書きます。これをプログラミング言語を用いた記述と言います。しかし、このプログラムを計算機に直接実行させることはできません。なぜなら、計算機はプログラミング言語を理解できないからです。そこで、翻訳の作業が必要になります。人間が書いたプログラムを、計算機が理解できる機械語に変換するのです。この翻訳作業を行うのが、コンパイラと呼ばれる特別なプログラムです。コンパイラは、プログラミング言語で書かれたプログラムを読み込み、それを機械語に変換します。こうして作られた、機械語で表現されたプログラムが、ネイティブプログラムと呼ばれるものです。
ネイティブプログラムは、特定の種類の計算機のために作られています。つまり、ある計算機用に作られたネイティブプログラムは、他の種類の計算機では実行できない場合があります。これは、人間の世界で例えると、日本語で書かれた本を英語を話す人にそのまま渡しても、理解してもらえないのと同じです。
ネイティブプログラムは、機械語で直接書かれているため、計算機は余計な手順を踏むことなく、その指示を実行できます。そのため、処理速度が速く、計算機の能力を最大限に引き出すことができます。これが、ネイティブプログラムの大きな利点です。まるで、母国語で話しかけられた時に、スムーズに理解し、反応できるのと同じように、計算機もネイティブプログラムを速やかに実行できるのです。
機械語への変換
私たちが普段、コンピュータ上で様々な作業を行う際に利用するプログラムは、人間が理解しやすい言葉で書かれています。しかし、コンピュータはこれらの言葉を直接理解することはできません。コンピュータが理解できるのは、機械語と呼ばれる特殊な言葉だけです。そのため、人間が書いたプログラムをコンピュータで実行するためには、機械語に変換する必要があります。この変換作業を翻訳に例えると、人間が書いたプログラムは日本語の文章、機械語はコンピュータが理解できる言葉、そして翻訳を行うのが翻訳者に当たります。
この翻訳作業を行う特別なプログラムを、コンパイラと呼びます。コンパイラは、人間が書いたプログラムを読み込み、それをコンピュータが理解できる機械語に変換します。この変換作業は一気に行われるのではなく、いくつかの段階に分かれています。まず、コンパイラはプログラムの文法をチェックします。日本語の文章で例えると、句読点の位置や主語述語の関係が正しいかを確認するようなものです。次に、プログラムの意味を解釈し、より効率的に実行できるように整理します。これは、日本語の文章をより分かりやすく、簡潔に書き直す作業に似ています。最後に、整理されたプログラムを機械語に変換します。こうして、コンピュータが直接実行できるプログラムが完成します。
さらに、コンパイラは機種ごとに異なります。日本語を英語に翻訳する翻訳者と、日本語をフランス語に翻訳する翻訳者は異なるように、Windows用のコンパイラとMac用のコンパイラは異なります。そのため、Windows用に作られたプログラムをMacで直接実行することはできません。Macで実行するためには、Mac用のコンパイラを使って再度翻訳する必要があるのです。これは、英語で書かれた本をフランス語で読むためには、フランス語に翻訳する必要があるのと同じです。
利点
生まれながらの形式で作られたプログラム、いわゆるネイティブプログラムには、多くの利点があります。まず第一に、その処理速度の速さが挙げられます。これらのプログラムは、コンピュータが直接理解できる言葉、機械語で書かれています。そのため、他の形式のように、実行前に翻訳や解釈といった余分な手順が必要ありません。このおかげで、プログラムは非常に素早く動くことができ、特に複雑な計算や画像処理を伴うゲームなどのソフトウェアでは、この速度の差が大きく現れます。
第二に、ネイティブプログラムはコンピュータの部品、つまりハードウェアに直接働きかけることができます。これは、コンピュータの持つ能力を最大限に活用できることを意味し、より高度な処理や複雑な計算を可能にします。例えるなら、専門の職人さんが特注の道具を使って仕事をするようなもので、非常に精密で効率的な作業ができます。
さらに、ネイティブプログラムは、一度完成すれば、どこでも同じように動くという利点もあります。プログラムが動くためには、様々な補助的な部品、いわば道具箱のようなものが必要です。ネイティブプログラムでは、これらの道具箱はプログラムを作る段階で既に全て揃えられています。そのため、他の形式のように、実行するコンピュータごとに道具箱を用意する必要がなく、どんな環境でもすぐに使うことができます。これは、プログラムを配布したり、様々な場所で利用する際に非常に便利です。まるで、必要な道具を全て詰め込んだ専用ケースを持ち歩くようなもので、いつでもどこでも同じように作業ができます。
利点 | 説明 | 比喩 |
---|---|---|
処理速度が速い | 機械語で書かれているため、実行前に翻訳や解釈が不要。複雑な計算や画像処理を伴うソフトウェアで特に有効。 | – |
ハードウェアに直接働きかける | コンピュータの能力を最大限に活用し、高度な処理や複雑な計算が可能。 | 専門の職人さんが特注の道具を使って仕事をする |
環境に依存せず動作する | 必要な部品(道具箱)がプログラムに含まれているため、実行環境に依存しない。配布や様々な場所での利用に便利。 | 必要な道具を全て詰め込んだ専用ケースを持ち歩く |
欠点
機械語に直接変換されて動作する、いわゆる「生まれつき」のプログラムは、処理速度が速く、機械の能力を最大限に引き出すことができるという大きな利点があります。しかし、いくつかの欠点も存在します。まず、特定の機械構造に強く依存しているため、他の環境への移植性が低いという問題があります。例えば、ある会社の機械用に作られたプログラムは、別の会社の機械ではそのままでは動きません。それぞれの機械の構造に合わせて、プログラムを再び作り直す必要があります。これは、プログラムの開発や配布を複雑にし、手間と費用がかかる原因となります。
また、このようなプログラムは、プログラム全体が機械語に変換されるため、ファイルの容量が大きくなる傾向があります。これは、記憶容量の限られた機器では、大きな負担となる可能性があります。例えば、小さな記憶装置しか持たない機器では、プログラムを格納するだけで容量がいっぱいになり、他の必要な情報が保存できなくなるかもしれません。
さらに、プログラムを動かすために必要な部品が、プログラムを作る時点で全て決定されるという特徴も欠点となります。つまり、プログラムを動かす環境が変わると、プログラムが動かなくなったり、誤作動を起こす可能性があります。例えば、プログラムを動かすための基本的な部品が新しくなった場合、プログラムをそれに合わせて修正する必要が出てきます。これは、環境の変化への対応を難しくし、維持管理に手間がかかる原因となります。
このように、生まれつきのプログラムは高速で効率的である一方で、移植性、ファイルサイズ、環境の変化への対応力といった面で課題を抱えています。これらの欠点を理解し、適切な対策を講じることで、より効果的にプログラムを活用することが可能になります。
メリット | デメリット |
---|---|
処理速度が速い | 移植性が低い (異なる機械では動作しない) |
機械の能力を最大限に引き出せる | ファイル容量が大きい |
環境の変化への対応が難しい (部品変更などに弱い) |
まとめ
機械の言葉に直接変換されるプログラムは、いわゆる「機械語プログラム」と呼ばれ、他の種類と比べて処理速度が非常に速いという大きな利点があります。なぜなら、コンピュータは翻訳の手間をかけずに、そのまま命令を実行できるからです。また、機械に近い部分にも直接働きかけることができるため、装置全体をうまく操ることができます。
しかし、この「機械語プログラム」にも弱点があります。それは、特定の種類のコンピュータでしか動かないということです。例えば、ある会社のコンピュータ用に作ったプログラムは、別の会社のコンピュータでは動かないといった具合です。また、プログラムの容量も大きくなりがちです。
プログラムを作る方法を選ぶときには、これらの良い点と悪い点を天秤にかける必要があります。速さが求められるのか、それとも色々なコンピュータで動くことが重要なのか、よく考える必要があります。
最近は、翻訳機のような役割を果たす「仮想機械」や「通訳プログラム」といった技術が進化しています。これらを使うと、「機械語プログラム」とは別の方法でプログラムを作ることができます。例えば、一度別の形式に変換してから実行する方法などです。
それぞれの技術の特徴を理解し、作るものに合わせて最適な方法を選ぶことで、より効率的に、効果の高いプログラムを作ることができます。「機械語プログラム」は、処理速度が求められる場面では、今でも重要な役割を担っています。これからコンピュータ技術がどのように進化していくにせよ、「機械語プログラム」は重要な要素であり続けるでしょう。
項目 | 機械語プログラム | その他のプログラム |
---|---|---|
処理速度 | 非常に速い | 遅い |
互換性 | 特定のコンピュータのみ | 仮想機械や通訳プログラムにより比較的高い |
プログラム容量 | 大きくなりがち | 小さい |
メリット | コンピュータが直接命令を実行できるため高速。装置全体をうまく操れる。 | 様々なコンピュータで動作する。プログラム容量が小さい。 |
デメリット | 特定のコンピュータでしか動かない。容量が大きくなりがち。 | 仮想機械や通訳プログラムが必要。機械語プログラムより遅い。 |