FireWire:高速データ転送の立役者
ITの初心者
先生、「FireWire」って言葉、聞いたことあるんですけど、何でしたっけ?
ITアドバイザー
「FireWire」は、ビデオカメラなどの映像機器やパソコンの周辺機器を繋ぐ技術の一つだよ。高速でデータをやり取りできるのが特徴だね。
ITの初心者
へえー。それで、何で「FireWire」って呼ばれているんですか?
ITアドバイザー
アップル社が開発した時に、開発コード名が「FireWire」だったからなんだ。実は「IEEE1394」やソニーの「i.LINK」と同じ規格で、呼び方が違うだけなんだよ。
FireWireとは。
「FireWire(ファイヤーワイヤー)」は、映像や音声機器、パソコンの周辺機器をつなぐ規格の一つで、「IEEE1394(アイトリプルイーいちさんきゅうよん)」という正式名称の通称です。これはアップル社が開発したもので、開発コード名がそのまま製品名になりました。ソニーの「i.LINK(アイリンク)」も同じ規格です。この規格は、IEEE1394、DV端子とも呼ばれます。
FireWireとは
– FireWireとはFireWireは、「IEEE1394」という規格の愛称で、主に映像機器やパソコン周辺機器の接続に使われてきました。1990年代後半、USB1.1が普及し始めた頃に登場し、当時としては画期的な高速データ転送を実現しました。USB1.1の転送速度が最大でも毎秒12メガビットだったのに対し、FireWireは当初から毎秒400メガビットという圧倒的な速さを誇っていました。そのため、デジタルビデオカメラや外付けハードディスクなど、大容量データのやり取りが必要な機器に最適とされ、広く普及していきました。FireWireの登場は、デジタルビデオカメラの普及にも大きく貢献しました。従来のアナログ接続に比べて、高画質の映像を劣化なくパソコンに取り込むことが可能になったためです。また、複数の機器を数珠つなぎに接続できる「デイジーチェーン」にも対応しており、配線の簡略化にも役立ちました。しかし、その後USBの高速化が進み、USB2.0、USB3.0が登場すると、FireWireは次第にその座を追われることになります。現在では、FireWireを搭載した機器は少なくなってきていますが、一部の業務用機器などでは、その信頼性の高さから現在も使い続けられています。
項目 | 内容 |
---|---|
規格名 | IEEE1394 |
用途 | 主に映像機器やパソコン周辺機器の接続 |
登場時期 | 1990年代後半、USB1.1普及し始め頃 |
特徴 | – 当時としては画期的な高速データ転送を実現 – 最大毎秒400メガビットの転送速度 – デジタルビデオカメラや外付けハードディスクなど、大容量データのやり取りが必要な機器に最適 – 複数の機器を数珠つなぎに接続できる「デイジーチェーン」に対応 |
メリット | – 高画質の映像を劣化なくパソコンに取り込める – 配線の簡略化 |
その後 | – USBの高速化が進み、USB2.0、USB3.0が登場すると、FireWireは次第にその座を追われることになります。 – 現在では、FireWireを搭載した機器は少なくなってきていますが、一部の業務用機器などでは、その信頼性の高さから現在も使い続けられています。 |
アップルによる開発と普及
「ファイアワイヤー」という技術は、アップル社が中心となって開発を進め、1995年に正式な規格として認められました。この技術は、特にアップル社の主力商品であるマッキントッシュシリーズに標準で搭載され、その速さと使い勝手の良さから、多くの利用者に支持されました。従来の接続方式に比べて格段に速いデータ転送速度を実現したファイアワイヤーは、動画や音声など大容量のデータもスムーズに扱うことができたため、映像編集者や音楽家など、プロの現場でも広く採用されるようになりました。また、アップル製品だけでなく、Windowsを搭載したパソコンにも搭載されるようになり、周辺機器市場においてもファイアワイヤーに対応した製品が次々と登場しました。このように、ファイアワイヤーは、その優れた性能と汎用性の高さから、コンピューターと周辺機器を接続するための主要な規格の一つとして、確固たる地位を築いたのです。
項目 | 内容 |
---|---|
技術名 | ファイアワイヤー |
開発 | アップル社が中心となって開発 |
規格化 | 1995年 |
主な採用製品 | マッキントッシュシリーズ Windows搭載パソコン 周辺機器 |
メリット | 高速なデータ転送速度 動画や音声など大容量データの取り扱いに優れている 汎用性の高さ |
影響 | コンピューターと周辺機器を接続するための主要な規格の一つとなる |
ソニーの「i.LINK」
家電製品やパソコン周辺機器を繋ぐ規格のひとつに「FireWire」というものがあります。この「FireWire」は、実はあの有名な電機メーカーであるソニーが「i.LINK」という名前で広めたものでもあります。
ソニーは、自社のビデオカメラやテレビなどのAV機器に積極的に「FireWire」を採用し、「i.LINK」という親しみやすい名前を付けて展開しました。そのため、パソコンにあまり詳しくない方でも、「i.LINK」という言葉を聞いたことのある方は多いのではないでしょうか。特に、ビデオカメラで撮影した映像をパソコンに取り込んだり、テレビとレコーダーを接続して録画したりする際に、「i.LINK」端子を見たことがある方もいるかもしれません。
「FireWire」と「i.LINK」は、基本的には同じ規格なので、どちらの名前で呼ばれていても、機能や性能に違いはありません。しかし、ソニーが自社製品に積極的に採用し、「i.LINK」という名前で広めたことで、AV機器の世界では特に「i.LINK」の名前が定着していったと言えるでしょう。
項目 | 内容 |
---|---|
規格名 | FireWire (IEEE 1394) |
別名 | i.LINK (ソニー) |
開発元 | アップル(Apple)が中心となり開発 |
主な用途 | 家電製品やパソコン周辺機器の接続 |
特徴 | 高速なデータ転送が可能 |
i.LINKについて | ソニーがFireWireを自社製品に採用した際の名称 AV機器分野で広く普及 |
高速データ転送と柔軟な接続性
– 高速データ転送と柔軟な接続性FireWireの最も注目すべき点は、その高速なデータ転送速度です。発売当初は最大毎秒400メガビットという速度でデータ転送が可能でしたが、その後技術の進歩と共に、毎秒800メガビット、そして毎秒3.2ギガビットという高速な転送速度を実現するまでに進化しました。これは、当時の主流であったUSBと比較すると圧倒的な速度差であり、大容量のデータ転送が必要とされる場面で大きな力を発揮しました。
FireWireのもう一つの特徴は、その接続の柔軟性です。最大で63台もの機器を数珠つなぎに接続できる「デイジーチェーン接続」に対応しており、様々な機器を相互に接続することが可能でした。この柔軟性により、FireWireは、ビデオカメラや外付けハードディスク、オーディオインターフェースなど、幅広い機器で採用され、高速かつ安定したデータ転送を必要とするプロフェッショナルな現場で特に重宝されました。
特徴 | 説明 |
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高速データ転送 | – 最大毎秒400メガビットから始まり、毎秒800メガビット、毎秒3.2ギガビットへと高速化 – 当時のUSBよりも圧倒的に高速 |
柔軟な接続性 | – 最大63台の機器をデイジーチェーン接続可能 – ビデオカメラ、外付けHDD、オーディオインターフェースなど幅広い機器で採用 |
USBの台頭とFireWireの衰退
2000年代後半に差し掛かると、コンピュータ周辺機器の接続方式において大きな変化が訪れました。それまで高速データ転送の代名詞であったFireWireは、USB(Universal Serial Bus)の台頭により、徐々にその存在感を失っていきました。
この転換点となったのは、USB2.0の登場です。USB2.0は、それまでのUSB1.1と比べて大幅にデータ転送速度が向上し、FireWireに匹敵する性能を実現しました。しかも、USB2.0はFireWireと比較して製造コストが低く、多くの機器メーカーがこぞって採用しました。
この流れはさらに加速し、USB3.0の登場によって決定的となります。USB3.0は、USB2.0をはるかに凌駕する高速データ転送を実現し、高速データ転送の分野ではUSBが完全に主流となりました。 一方FireWireは、一部の機器で採用が続くものの、その影は薄くなり、多くのユーザーの記憶から忘れ去られようとしています。
項目 | 特徴 | 備考 |
---|---|---|
FireWire | 高速データ転送 | 2000年代後半以降、USBの台頭により衰退 |
USB1.1 | 低速なデータ転送速度 | – |
USB2.0 | FireWireに匹敵するデータ転送速度 低コスト |
多くの機器メーカーが採用 |
USB3.0 | USB2.0をはるかに凌駕するデータ転送速度 | 高速データ転送の主流となる |
FireWireの功績とその後
1990年代後半、デジタルビデオカメラやハードディスクレコーダーといったデジタル家電製品が普及し始めました。これらの機器には、従来の接続規格よりも高速にデータを転送できる技術が必要とされていました。その様な時代の要請に応えるように登場したのがFireWireです。
FireWireは、アップルが開発した高速シリアル転送規格で、最大400Mbpsという当時としては画期的な転送速度を実現し、デジタルビデオカメラやハードディスクレコーダーなどをパソコンに接続して、高画質の動画をスムーズに転送することを可能にしました。
FireWireの登場は、デジタルAV機器の普及を大きく後押しし、デジタルコンテンツ制作の裾野を広げることにも貢献しました。その後、USB2.0が登場し、普及していく中でFireWireは徐々にその姿を消していきました。
しかし、FireWireで培われた高速データ転送の技術は、その後のインターフェース規格に受け継がれています。例えば、Thunderboltは、FireWireの技術をベースに開発された高速インターフェース規格で、現在では、MacBookなどのパソコンやディスプレイに搭載されています。また、USB Power Deliveryも、FireWireの電力供給機能を応用した技術です。
FireWireは、現在では目にする機会が少なくなりましたが、高速データ転送時代の先駆者として、その功績は、現在の様々な技術に受け継がれています。
項目 | 内容 |
---|---|
背景 | 1990年代後半、デジタルビデオカメラやHDDレコーダーなどの普及により、高速データ転送技術が求められた。 |
FireWireの登場 | アップルが開発した高速シリアル転送規格。最大400Mbpsの転送速度を実現し、デジタルAV機器の普及を後押しした。 |
FireWireの衰退 | USB2.0の登場と普及により、徐々に姿を消していった。 |
FireWireの功績と技術継承 | 高速データ転送時代の先駆者として、ThunderboltやUSB Power Deliveryなど、その後の技術に影響を与えた。 |