ISDN:時代を築いたデジタル通信網

ISDN:時代を築いたデジタル通信網

ITの初心者

先生、「ISDN」って昔よく聞いたんですけど、今はあまり聞かないですよね。一体どんなものだったんですか?

ITアドバイザー

そうだね、今はあまり聞かなくなったね。「ISDN」は、インターネットに繋ぐための昔の技術の一つだよ。電話線を使って、電話もFAXもインターネットも、これ一本で全部できたんだ。

ITの初心者

へえー、すごいですね!じゃあ、なんで今は使われていないんですか?

ITアドバイザー

「ISDN」よりももっと速くインターネットに繋がる技術が出てきたからだよ。例えば「光回線」は「ISDN」よりもずっと速く、たくさんの情報をやり取りできるんだ。

ISDNとは。

「ISDN」という言葉を説明します。これは、今ある電話線を使って、電話、ファックス、データ通信を一つにまとめたデジタルの通信網のことです。日本では、NTTが「INSネット」という名前でサービスを提供していました。1990年代の半ばから、インターネットに繋ぐために広く使われるようになりました。しかし、2000年頃になると、ADSLや光ファイバーなど、もっと速いインターネット接続サービスに移行する人が増えました。ISDNは、「integrated services digital network」のそれぞれの単語の最初の文字をとった言葉です。

電話網を活用したデジタル通信

電話網を活用したデジタル通信

– 電話網を活用したデジタル通信

「ISDN」という言葉をご存知でしょうか?これは「Integrated Services Digital Network」の略称で、従来の電話網を利用してデジタル通信を行う技術です。

従来の電話回線はアナログ信号を用いていましたが、ISDNは情報をデジタル信号に変換して送受信します。デジタル信号は、0と1の組み合わせで情報を表現するため、ノイズの影響を受けにくく、クリアな音声通話を実現できました。さらに、ISDNの登場により、音声だけでなく、ファックスやデータ通信も電話回線を通じて行えるようになりました。これは、従来は別々の回線が必要だったものが、一本の回線に統合されたことを意味し、通信の効率化に大きく貢献しました。

このように、ISDNは電話網のデジタル化を推進し、高速かつ高品質な通信を可能にした革新的な技術と言えます。

項目 内容
技術名 ISDN (Integrated Services Digital Network)
概要 従来の電話網を利用したデジタル通信技術
特徴 – デジタル信号によるノイズに強いクリアな音声通話
– 音声、ファックス、データ通信を一本の回線で統合
メリット – 高速・高品質な通信
– 通信の効率化

日本のISDN:INSネット

日本のISDN:INSネット

– 日本のISDNINSネット日本では、1980年代後半から2000年代にかけて、NTTがINSネットという名称でISDNの商用サービスを提供していました。INSネットは、それまでの電話回線に比べて高速なデータ通信が可能であり、音声通話とデータ通信を同時に行えるという画期的なものでした。このサービスが登場した当時、企業では業務効率化のためにコンピューターの導入が進み、社内ネットワークの構築や、取引先とのデータ交換の需要が高まっていました。しかし、当時の一般的な通信手段はアナログ電話回線であり、通信速度が遅く、データ通信を行う際には音声通話ができないという課題がありました。INSネットはこれらの課題を解決する画期的なサービスとして、企業のオフィスにおける通信インフラとして広く普及しました。また、INSネットは家庭においても、インターネット接続サービスや、テレビ電話、オンラインゲームなどの新しいサービスの普及を支えました。当時のインターネット接続はアナログ電話回線を用いたダイヤルアップ接続が主流でしたが、INSネットはダイヤルアップ接続よりも高速なデータ通信が可能であったため、より快適なインターネット体験を提供しました。しかし、2000年代以降、光ファイバーによるブロードバンドインターネット接続が普及し始めると、INSネットは徐々にその役割を終えていきました。そして、2022年1月、NTT東日本・西日本はINSネットのサービスを終了しました。INSネットは日本の情報化社会の進展に大きく貢献した通信サービスとして、その歴史に幕を閉じました

項目 内容
サービス名 INSネット
提供者 NTT
提供期間 1980年代後半 – 2022年1月
特徴 – 高速データ通信
– 音声通話とデータ通信の同時利用が可能
メリット – 業務効率化 (企業)
– インターネット接続サービスの普及 (家庭)
普及の背景 – 企業:コンピューター導入、ネットワーク構築、データ交換の需要増加
– 家庭:インターネット接続、テレビ電話、オンラインゲームなどの新サービス登場
衰退の理由 光ファイバーによるブロードバンドインターネット接続の普及
影響 日本の情報化社会の進展に大きく貢献

インターネット普及の立役者

インターネット普及の立役者

1990年代中頃、それまで限られた人々しか利用できなかったインターネットが、一般家庭にも急速に広まり始めました。このインターネット普及の立役者の一つとして挙げられるのが、ISDNです。
ISDNが登場するまで、インターネットに接続するには電話回線を使ったダイヤルアップ接続が主流でした。しかし、ダイヤルアップ接続は通信速度が遅く、インターネットに接続している間は電話が使えなくなるといった不便さがありました。
一方、ISDNはダイヤルアップ接続に比べて高速な通信が可能でした。画像や動画など、容量の大きいデータも比較的スムーズに送受信できるようになり、インターネットの利便性が飛躍的に向上したのです。また、ISDNは常時接続が可能であることも大きな特徴でした。インターネットに接続したいときにいちいちダイヤルアップする必要がなくなり、いつでも気軽にインターネットを楽しむことができるようになりました。
このように、ISDNは高速な通信と常時接続という利便性の高さから、多くの家庭でインターネット接続手段として選ばれ、インターネット普及の原動力となりました。

項目 ダイヤルアップ接続 ISDN
通信速度 遅い 高速
常時接続 不可 可能
電話利用 不可 可能
利便性 低い 高い
普及への影響 インターネット普及の原動力

ブロードバンド登場とISDNの衰退

ブロードバンド登場とISDNの衰退

2000年頃、インターネットの世界に大きな変化が訪れました。ADSLやFTTHといった、ブロードバンドと呼ばれる新しいインターネット接続サービスが登場したのです。ブロードバンドは、それまでの主流であったISDNと比べて、圧倒的に速い通信速度を誇っていました。しかも、料金はISDNよりも安く設定されていたため、多くの人にとって魅力的な選択肢となりました。
このブロードバンドの登場は、インターネットの使い方を大きく変えました。動画視聴や大容量ファイルの送受信など、高速な通信環境が必要とされるサービスが次々と登場し、人々は以前よりも快適にインターネットを楽しむことができるようになったのです。
その一方で、ブロードバンドの普及は、ISDNの運命を大きく変えることとなりました。高速かつ安価なブロードバンドの登場によって、ISDNは次第にその存在意義を失い、利用者を減らしていったのです。そして現在では、新規の契約受付は終了し、ISDNは過去の技術となりつつあります

項目 ブロードバンド ISDN
通信速度 高速 低速
料金 安価 高価
普及率 現在主流 過去の技術
影響 – 動画視聴、大容量ファイル送受信など、新しいサービスが登場
– インターネットがより快適に利用可能に
– ブロードバンドの登場により、存在意義を失い利用者減少
– 現在、新規契約受付は終了

ISDNが残した功績

ISDNが残した功績

– ISDNが残した功績

情報通信技術が飛躍的に発展した現代において、ISDNという言葉を耳にする機会は少なくなりました。かつて高速通信の代名詞であったISDNは、光ファイバーやCATVといったブロードバンドの普及により、その役割を終えようとしています。しかし、ISDNは、単に姿を消そうとしている過去の技術ではありません。デジタル通信の時代を切り開き、今日のインターネット社会の礎を築いたという点で、大きな功績を残しました。

ISDNが登場する以前、電話回線は音声を通話するためのアナログ回線が主流でした。しかし、ISDNはデジタル信号を用いることで、従来のアナログ回線では不可能であった高速なデータ通信を実現しました。これは、まさに通信技術における革命であり、情報通信の在り方を大きく変えた出来事でした。

ISDNの高速なデータ通信能力は、インターネットの普及を大きく促進する原動力となりました。画像や動画といった容量の大きなデータも、ストレスなく送受信できるようになったことで、人々はインターネットを通じて、より多くの情報を簡単に手に入れることができるようになったのです。

ISDNは、その役目を終えようとしていますが、その功績は、今日の情報化社会の礎として、未来へも受け継がれていくでしょう。

時代 通信技術 特徴 ISDNの功績
ISDN以前 アナログ回線 音声通話用
低速
ISDN時代 ISDN デジタル信号
高速データ通信
– インターネット普及の促進
– 大容量データの送受信
ISDN以後 光ファイバー、CATV等 超高速データ通信 – ISDNの功績を受け継ぎ、情報化社会の基盤となる