仮想LANでネットワークを分割

仮想LANでネットワークを分割

ITの初心者

先生、『バーチャルLAN』ってよく聞くんですけど、どういうものか教えてください。

ITアドバイザー

そうですね。『バーチャルLAN』、正式にはVLANと言いますが、これは1つの物理的なネットワーク機器の中に、複数の独立したネットワークを作ることです。たとえば、同じ会社の社員でも、部署ごとに別のネットワークに分けたい場合などに役立ちます。

ITの初心者

なるほど。つまり、物理的には同じ場所に繋がっているのに、仮想的に別のネットワークとして使えるってことですね。でも、それってどんなメリットがあるんですか?

ITアドバイザー

良い質問ですね。VLANを使うことで、部署ごとにネットワークを分けることで、セキュリティを高めたり、ネットワークの混雑を減らしたり、管理を簡単にすることができるんですよ。

バーチャルLANとは。

『仮想LAN』と呼ばれる、IT関係の言葉について説明します。(仮想LANはブイランとも呼ばれます。)

仮想LANとは

仮想LANとは

仮想区域ネットワーク、いわゆる仮想LANとは、実在するネットワーク機器を複数人で共有しつつ、論理的にネットワークを分割する技術のことです。まるで独立した複数のネットワークがあるかのように機能するため、各ネットワーク間の通信を遮断したり、特定のネットワークへの接続を制限したりできます。物理的な配線を変更することなく、ネットワーク構成を柔軟に変えられるので、管理の手間を省き、安全性を高めるのに役立ちます。近年は、企業内だけでなく、家庭内でも使われるようになり、その重要性は増しています。

仮想LANを使うと、例えば、仕事用のパソコンと個人のパソコンを同じネットワーク機器に繋いでも、互いに通信できないように設定することで、情報の流出を防ぐことができます。また、来客用の無線ネットワークを作る際にも、仮想LANを使えば、来客が社内ネットワークにアクセスできないように制限でき、安全性を確保できます。

具体的な仕組みとしては、仮想LANでは、各機器に仮想LAN識別子(VID)と呼ばれる番号を割り当て、同じ番号の機器同士だけで通信できるように制御します。VIDが異なる機器は、同じ物理ネットワーク上に存在していても通信できないため、まるで別々のネットワークのように動作します。この仕組みにより、物理的な配線を変えることなく、論理的にネットワークを分割することが可能となります。

さらに、仮想LANはネットワークの運用管理を容易にするという利点もあります。例えば、部門ごとに仮想LANを割り当てることで、各部門のネットワーク管理者が自分の担当範囲のみを管理できるようになります。また、障害発生時にも、影響範囲を特定の仮想LANに限定できるため、迅速な復旧作業が可能になります。このように、仮想LANはネットワークの柔軟性と安全性を高めるだけでなく、管理効率の向上にも大きく貢献する、現代のネットワークには欠かせない技術となっています。

項目 説明
仮想LAN (VLAN) 物理的な配線を変更せずに、論理的にネットワークを分割する技術。複数の独立したネットワークのように機能し、通信の遮断や接続制限が可能。
メリット
  • 管理の手間削減
  • 安全性向上
  • ネットワーク構成の柔軟性向上
  • 運用管理の容易化
  • 迅速な障害復旧
使用例
  • 仕事用PCと個人用PCの分離
  • 来客用無線ネットワークの構築
  • 部門ごとのネットワーク分離
仕組み 仮想LAN識別子(VID)と呼ばれる番号を各機器に割り当て、同じ番号の機器同士だけで通信を制御。VIDが異なる機器は通信不可。
運用管理上の利点
  • 部門ごとの管理が可能
  • 障害の影響範囲を限定できる

仮想LANの仕組み

仮想LANの仕組み

仮想構内通信網(仮想LAN)とは、物理的な配線を変えることなく、論理的に複数の構内通信網(LAN)を構築する技術です。複数の部署やグループが存在する環境で、それぞれ独立した通信網を構築したい場合に有効です。仮想LANを理解する上で重要なのは「札(タグ)」の概念です。

データの送受信には、データのかたまりである「小包(パケット)」が使われます。仮想LANでは、この小包に札を付け加えます。この札には、どの仮想LANに属するかが示されています。ネットワーク機器は、小包に付けられた札を見て、どの仮想LANに送るべきかを判断します。同じ札が付いた小包同士だけが通信できるので、異なる仮想LANに属する機器同士は、たとえ物理的に同じネットワークにつながっていても通信できません

仮想LANは、物理的なネットワーク上に、複数の独立したLANを仮想的に構築しているようなものです。各仮想LANはそれぞれ独立した「放送領域(ブロードキャストドメイン)」を持ちます。放送領域とは、ある機器が送信した放送メッセージが到達する範囲のことです。仮想LANでは、放送メッセージは同じ仮想LAN内の機器にしか届かないため、他の仮想LANへの影響はありません。たとえば、ある仮想LANで大量の放送メッセージが送られても、他の仮想LANの通信速度が遅くなることはありません。

仮想LANを構築するには、仮想LANに対応したネットワーク機器が必要です。具体的には、仮想LANに対応した「交換機(スイッチ)」や「経路機(ルータ)」が使われます。これらの機器は、小包に付けられた札に基づいて、適切な仮想LANに小包を転送する機能を備えています。このように、仮想LANは札を用いることで、柔軟で安全なネットワーク環境を実現します。管理者は、必要に応じて仮想LANを追加したり削除したりすることで、ネットワーク構成を容易に変更できます。

項目 説明
仮想LAN (VLAN) 物理的な配線変更なしに、論理的に複数のLANを構築する技術。
目的 複数部署やグループの独立した通信網構築。
仕組み データの小包(パケット)に札(タグ)を付加。札で所属VLANを識別。
通信 同じ札の小包同士のみ通信可能。異なるVLAN間は通信不可。
放送領域 各VLANは独立した放送領域を持つ。放送メッセージは同一VLAN内に限定。
メリット VLAN間の影響なし(例:大量の放送メッセージによる速度低下なし)。
必要な機器 VLAN対応の交換機(スイッチ)や経路機(ルータ)。
管理 VLANの追加/削除による柔軟なネットワーク構成変更が可能。

仮想LANの利点

仮想LANの利点

仮想構内網(仮想LAN)を導入することで、様々な利点が得られます。まず、安全性の向上です。部署やグループごとに異なる仮想LANに分割することで、部署間での情報の行き来を制限できます。これにより、情報が漏れたり、不正にアクセスされたりする危険性を大幅に減らすことができます。例えば、営業部と開発部をそれぞれ別の仮想LANに割り当てることで、営業部の機密情報に開発部がアクセスすることを防ぐことができます。

次に、網の管理が簡単になることも大きな利点です。実際に線を繋ぎ変えることなく、網の構成を変更できます。そのため、管理にかかる手間や費用を減らすことができます。例えば、新しい部署が出来た場合でも、物理的な配線を変えることなく、仮想LANを作成し、必要な機器を接続するだけで、簡単に新しい部署の網環境を構築できます。

さらに、網全体の性能も向上します。仮想LANを導入することで、不必要な情報が広範囲に広がるのを抑えることができます。これにより、網全体の負荷が減り、通信速度が向上します。例えば、ある部署で大量のデータをやり取りする場合でも、そのデータが他の部署の網に影響を与えることなく、スムーズに通信を行うことができます。

加えて、網を柔軟に構築できるようになります。例えば、ある事業ごとに仮想LANを作成し、関係者だけがアクセスできる環境を簡単に作ることができます。事業が終了した後は、仮想LANを削除するだけで、簡単に環境を片付けることができます。このように、仮想LANは、安全性、管理のしやすさ、性能、柔軟性のすべてを兼ね備えた、現代の網構築に欠かせない技術と言えます。

利点 説明
セキュリティの向上 部署やグループごとに異なる仮想LANに分割することで、部署間での情報の行き来を制限し、情報漏洩や不正アクセスを防ぐ。 営業部と開発部をそれぞれ別の仮想LANに割り当てることで、営業部の機密情報への開発部のアクセスを制限。
網管理の簡素化 物理的な配線変更なしに網構成を変更でき、管理の手間と費用を削減。 新しい部署設立時に、物理配線なしで仮想LANを作成し、機器を接続するだけで新しい網環境を構築。
網性能の向上 不必要な情報の広がりを抑え、網全体の負荷を軽減し、通信速度を向上。 ある部署での大量データ通信が他の部署の網に影響を与えずスムーズに実行。
網構築の柔軟性向上 事業ごとに仮想LANを作成し、関係者限定のアクセス環境を容易に構築。事業終了後は仮想LANを削除することで環境を簡単に整理。 特定事業に関係者だけがアクセスできる仮想LANを作成、事業終了後に削除。

仮想LANの種類

仮想LANの種類

会社の建物内にある計算機同士を繋ぐ網のことを、構内網といいます。この構内網の中に、更に幾つかの小さな網を仮想的に作ることを仮想構内網といい、計算機の運用管理を楽にする効果があります。仮想構内網には、大きく分けて三つの種類があります。一つ目は、繋ぐ場所ごとに網を分けるやり方です。これは、設定が簡単という長所があります。しかし、計算機を繋ぐ場所を変える時は、設定を変更する必要があるので、少し手間がかかります。二つ目は、データのやり取りに名札を付けて網を分けるやり方です。データに名札を付けることで、どの網に属するかを簡単に見分けることができます。このやり方は、繋ぐ場所ごとに網を分けるやり方よりも柔軟で、計算機の移動にも簡単に対応できます。計算機を別の場所に移動しても、名札を見ればどの網に属するかがすぐに分かるからです。三つ目は、網の層にある決まりごとに基づいて網を分けるやり方です。これは、網の住所や計算機の固有の番号などを使って、自動的に網を分けます。そのため、管理が楽という長所があります。人の手を介さずに網を分けることができるので、管理の手間が省けます。このように、仮想構内網には幾つかの種類があり、それぞれに長所と短所があります。そのため、構内網の状態や必要なことに合わせて、最適なやり方を選ぶことが大切です。

仮想構内網の種類 説明 長所 短所
繋ぐ場所ごとに網を分ける 物理的な接続場所に基づいてネットワークを分割 設定が簡単 機器の移動時に設定変更が必要
データのやり取りに名札を付けて網を分ける データにタグを付けてネットワークを分割(VLAN) 柔軟性が高い、機器の移動に容易に対応可能 設定が複雑になる場合がある
網の層にある決まりごとに基づいて網を分ける ネットワーク層のアドレスや機器固有IDなどで自動的に分割 管理が楽、自動化が可能 詳細な設定が必要になる場合がある

仮想LANの活用例

仮想LANの活用例

仮想構内通信網(仮想LAN)は、まるで複数の独立した通信網が存在するかのように、一つの物理的な通信網を論理的に分割する技術です。この技術によって、柔軟性と安全性を高め、様々な場面で役立っています。

まず、会社の通信網における活用例を見てみましょう。会社では、部署ごとに仮想LANを割り当てることが一般的です。例えば、経理部、営業部、開発部といった具合に、それぞれの部署に専用の仮想LANを用意します。こうすることで、各部署の情報は他の部署から隔離され、情報漏洩のリスクを減らすことができます。また、管理者も部署ごとに通信網を管理できるので、効率的な運用が可能です。

次に、情報を取り扱う建屋(データセンター)での活用例です。データセンターでは、顧客ごとに仮想LANを割り当てることで、顧客間の情報の分離を実現しています。これは、顧客の情報を他の顧客から守り、安全性を確保するために非常に重要です。 仮想LANによって、まるでそれぞれの顧客が専用の通信網を持っているかのように運用できます。

さらに、近年では、自宅で仕事をする人が増えたことで、家庭の通信網環境でも仮想LANの活用が広がっています。仕事用の機械と個人の機械を別々の仮想LANに接続することで、仕事の情報が個人の機械に流出するのを防ぎ、安全性を高めることができます。 例えば、家族が動画を見ている間も、仕事用の通信網は影響を受けずに安定した通信を維持できます。

このように、仮想LANは会社、データセンター、家庭など、様々な場所で通信網の柔軟性と安全性を高めるために活用されています。目に見えないところで私たちの情報を守る、重要な技術と言えるでしょう。

活用場所 仮想LANの使用方法 メリット
会社 部署ごとに仮想LANを割り当てる(例:経理部、営業部、開発部) 部署間の情報隔離による情報漏洩リスクの軽減、部署ごとの効率的な管理
データセンター 顧客ごとに仮想LANを割り当てる 顧客間の情報分離によるセキュリティ確保、顧客ごとの専用ネットワークのような運用
家庭 仕事用機器と個人用機器を別々の仮想LANに接続 仕事情報の個人機器への流出防止、仕事用ネットワークの安定性確保