
NATで複数機器をインターネットへ
家庭や会社など、限られた場所で使う情報機器の集まりを、地域情報網と呼びます。この網の中では、それぞれの機器に、その場限りの識別番号である私用住所が割り当てられます。この番号は、世界中で共通して使われる住所である、全体住所とは異なります。全体住所は、インターネットのような広大な情報網で、それぞれの機器を特定するために使われます。私用住所は、地域情報網の中だけで通用し、そのままではインターネットに接続できません。
そこで登場するのが、網住所変換という技術です。これは、複数の機器が一つの全体住所を共有して、インターネットに接続できるようにする仕組みです。地域情報網の中の機器がインターネットにアクセスしようとすると、網住所変換装置が、その機器の私用住所と、送りたい情報の行き先を記録します。そして、全体住所を使って情報をインターネットに送ります。
インターネットから返信が来ると、網住所変換装置は、記録しておいた情報をもとに、どの機器に送るべきかを判断し、私用住所に変換して該当の機器に届けます。このように、網住所変換によって、多くの機器が一つの全体住所を共有してインターネットに接続できるようになります。全体住所は数が限られているため、この技術は全体住所を有効に活用するために大変重要です。また、外部から地域情報網内の機器に直接アクセスできないため、セキュリティ対策としても有効です。網住所変換によって、インターネット接続のコスト削減と安全性の向上が実現しています。
近年、情報機器の爆発的な増加に伴い、全体住所の枯渇が深刻化しています。この問題を解決するため、新しいIPv6という仕組みに徐々に移行しつつあります。IPv6では、全体住所の数が大幅に増えるため、網住所変換の必要性は薄れていくと考えられます。しかし、セキュリティ対策としての役割は依然として重要であり、今後も様々な形で活用されていくでしょう。