
実装:思い描いたものを形にする
「実装」とは、設計図を基に実際に形あるものを作る作業のことです。家を作ることを例に挙げると、設計図は家の間取りや外観を決めた計画書で、それに基づいて大工さんが家を建てる作業が実装にあたります。
情報処理の世界では、「実装」は主にプログラムや処理系を作る際に、設計した機能を実際に使える状態にするまでの一連の作業を指します。例えば、新しい会計処理ソフトを作る場合、まずどのような機能が必要か、どのような画面にするかなどを設計します。そして、その設計に基づいて、実際にプログラムを書き、動作するソフトを作り上げます。これが実装にあたります。机上の空論ではなく、実際に動くものを作る、いわばものづくりの最終段階と言えるでしょう。
具体的な作業内容としては、まず設計書に基づいてプログラム言語を用いて命令文を書き連ねていきます。この作業を「プログラムを書く」または「符号化」と言います。必要な部品を組み合わせる作業も含まれます。会計ソフトの例で言えば、計算機能やデータベースとの連携機能など、様々な部品を組み合わせて一つのソフトを作り上げます。また、既に稼働している仕組みに新しい機能を追加する作業も実装に含まれます。例えば、既存の会計ソフトに新しい税制に対応するための機能を追加する場合も、実装作業の一つです。
実装が完了したら、設計通りに正しく動くかを確認する作業を行います。これは「試験」と呼ばれ、様々な条件でソフトを動かしてみて、不具合がないかを確認します。もし不具合が見つかった場合は、原因を調べ、プログラムを修正します。この修正作業も実装の一部です。こうした一連の作業を通して、初めて仕組が利用可能な状態になります。実装は仕組み開発における重要な工程であり、実装の質が仕組み全体の性能や信頼性を大きく左右します。 実装を適切に行うことで、使いやすく、安定した仕組を作ることができるのです。