
ネイティブプログラムを理解する
人間と計算機では、言葉の理解方法が大きく異なります。私たち人間は、日本語や英語など、高度な言語を使って考えや指示を表現します。この表現方法は、様々な意味やニュアンスを含めることができ、複雑な事柄も伝えることができます。しかし、計算機はそうではありません。計算機が直接理解できる言葉は、機械語と呼ばれるごく単純な命令の列だけです。これは、0と1の組み合わせで表現される、いわば計算機にとっての「母国語」のようなものです。
私たちが計算機に指示を出す場合、まず人間が理解しやすい言葉でプログラムを書きます。これをプログラミング言語を用いた記述と言います。しかし、このプログラムを計算機に直接実行させることはできません。なぜなら、計算機はプログラミング言語を理解できないからです。そこで、翻訳の作業が必要になります。人間が書いたプログラムを、計算機が理解できる機械語に変換するのです。この翻訳作業を行うのが、コンパイラと呼ばれる特別なプログラムです。コンパイラは、プログラミング言語で書かれたプログラムを読み込み、それを機械語に変換します。こうして作られた、機械語で表現されたプログラムが、ネイティブプログラムと呼ばれるものです。
ネイティブプログラムは、特定の種類の計算機のために作られています。つまり、ある計算機用に作られたネイティブプログラムは、他の種類の計算機では実行できない場合があります。これは、人間の世界で例えると、日本語で書かれた本を英語を話す人にそのまま渡しても、理解してもらえないのと同じです。
ネイティブプログラムは、機械語で直接書かれているため、計算機は余計な手順を踏むことなく、その指示を実行できます。そのため、処理速度が速く、計算機の能力を最大限に引き出すことができます。これが、ネイティブプログラムの大きな利点です。まるで、母国語で話しかけられた時に、スムーズに理解し、反応できるのと同じように、計算機もネイティブプログラムを速やかに実行できるのです。