
機器を動かす小さな頭脳、エンベッドOS
私たちの暮らしは、様々な機械に囲まれています。朝、温かい飲み物を用意してくれる冷蔵庫、汚れ物を綺麗にしてくれる洗濯機、世界の出来事を映し出すテレビ、そして私たちを遠くまで運んでくれる車。どれも私たちの生活には欠かせないものです。これらの機器が、私たちの指示通りに動いたり、決められた通りに自動で動いたりできるのは、実は小さな頭脳が働いているからです。それが、「組み込み制御系」と呼ばれるもので、機器の中に組み込まれた小さな計算機です。この小さな計算機は、「組み込み制御系向け基本処理手順」という専用の指示書に従って動いています。この指示書は、パソコンや携帯電話で使われている「汎用基本処理手順」とは少し違います。パソコンや携帯電話の基本処理手順は、色々なことができるように作られていますが、組み込み制御系向け基本処理手順は、その機械が動くために必要なことだけができるように作られています。例えば、冷蔵庫であれば温度を一定に保つ、洗濯機であれば決められた手順で洗濯をする、といった特定の仕事だけをこなすのです。このように、特定の仕事に特化することで、無駄な電力の消費を抑えたり、瞬時に反応するといった高い性能を実現したりすることができるのです。また、組み込み制御系は限られた大きさや電力の中で動く必要があるため、小さな部品で、少ない電力で動くように設計されています。まさに、表舞台には出ないものの、私たちの生活を支える縁の下の力持ちと言えるでしょう。