
仮想LANでネットワークを分割
仮想区域ネットワーク、いわゆる仮想LANとは、実在するネットワーク機器を複数人で共有しつつ、論理的にネットワークを分割する技術のことです。まるで独立した複数のネットワークがあるかのように機能するため、各ネットワーク間の通信を遮断したり、特定のネットワークへの接続を制限したりできます。物理的な配線を変更することなく、ネットワーク構成を柔軟に変えられるので、管理の手間を省き、安全性を高めるのに役立ちます。近年は、企業内だけでなく、家庭内でも使われるようになり、その重要性は増しています。
仮想LANを使うと、例えば、仕事用のパソコンと個人のパソコンを同じネットワーク機器に繋いでも、互いに通信できないように設定することで、情報の流出を防ぐことができます。また、来客用の無線ネットワークを作る際にも、仮想LANを使えば、来客が社内ネットワークにアクセスできないように制限でき、安全性を確保できます。
具体的な仕組みとしては、仮想LANでは、各機器に仮想LAN識別子(VID)と呼ばれる番号を割り当て、同じ番号の機器同士だけで通信できるように制御します。VIDが異なる機器は、同じ物理ネットワーク上に存在していても通信できないため、まるで別々のネットワークのように動作します。この仕組みにより、物理的な配線を変えることなく、論理的にネットワークを分割することが可能となります。
さらに、仮想LANはネットワークの運用管理を容易にするという利点もあります。例えば、部門ごとに仮想LANを割り当てることで、各部門のネットワーク管理者が自分の担当範囲のみを管理できるようになります。また、障害発生時にも、影響範囲を特定の仮想LANに限定できるため、迅速な復旧作業が可能になります。このように、仮想LANはネットワークの柔軟性と安全性を高めるだけでなく、管理効率の向上にも大きく貢献する、現代のネットワークには欠かせない技術となっています。