
信号の反射を防ぐ終端抵抗
電気信号の通り道、伝送路の端に繋げる抵抗のことを、終端抵抗と言います。まるで道の終点にある車止めのようなもので、電気信号が伝送路の端で跳ね返るのを防ぐ役割を果たします。
伝送路に電気信号が流れる様子を想像してみてください。信号は、まるで波のように伝わっていきますが、伝送路の端に到達すると、行き場を失い、跳ね返って逆方向に進んでしまいます。これを信号の反射と言います。この反射波は、元の信号とぶつかり合ってしまい、信号の形が歪んだり、雑音が混じったりする原因になります。ちょうど、水面に石を投げたときに波紋が広がり、壁に当たって跳ね返ってくる様子と似ています。反射した波紋は、元の波紋と重なり合って、水面の様子を乱してしまうのです。
終端抵抗は、この反射を抑えることで、信号が綺麗に伝わるようにする働きをします。信号が伝送路の端に到達した際に、終端抵抗が電気信号のエネルギーを吸収し、反射波の発生を防ぎます。これにより、信号の歪みや雑音を減らし、信号の品質を保つことができるのです。
終端抵抗は、特に速い速度で情報を送る高速データ通信や、高い周波数を持つ信号を扱う高周波信号の伝送などで重要です。これらの場面では、信号の品質がシステム全体の性能に大きく影響するため、終端抵抗を使って信号の反射をしっかりと抑える必要があるのです。例えば、テレビ放送や携帯電話、コンピュータネットワークなど、様々な機器やシステムで終端抵抗が活躍しています。まるで縁の下の力持ちのように、私たちの生活を支える重要な役割を果たしていると言えるでしょう。