
ハイビジョンとは?:高精細度テレビジョン放送の歴史と未来
かつて、お茶の間に娯楽や情報を届けてくれたテレビは、アナログ方式と呼ばれる技術を用いていました。しかし、技術の進歩は目覚ましく、より美しく、より臨場感のある映像を求める声が高まりました。こうした背景から誕生したのが「ハイビジョン」です。ハイビジョンは、従来のアナログテレビ放送と比べて、格段に多くの情報量を持つため、きめ細かく、現実に近い映像を映し出すことが可能となりました。この技術革新を支えたのが、走査線の数の違いです。画面を構成する走査線は、アナログテレビでは525本でしたが、ハイビジョンではその倍以上の1125本に増加しました。この画期的な技術は、日本の放送技術をリードする日本放送協会(NHK)が中心となって開発を進め、1980年代から試験放送が開始されました。人々は、スポーツ中継の選手の汗やスタジアムの熱気、ドラマの登場人物の表情や風景の美しさを、まるでその場にいるかのように体感することができるようになりました。ハイビジョンの登場は、テレビ放送の新たな時代の幕開けを告げるものでした。