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PowerPC: アップルを支えた強力な頭脳

1991年、コンピューター業界に激震が走りました。当時、業界を牽引していたアップル、IBM、モトローラという三社の巨人が、手を組んだというニュースは、多くの人々に驚きをもって迎えられました。三社が共同で開発に乗り出したのは、「PowerPC」と名付けられた新しいマイクロプロセッサーです。 当時のマイクロプロセッサーは、複雑な命令セットを持つCISC型が主流でしたが、PowerPCはより高速な処理を可能にするRISC型を採用しました。RISC型は命令セットを簡略化することで、処理の高速化を図る設計思想です。このPowerPCの登場は、パーソナルコンピューターの高性能化を一気に加速させる存在として、大きな期待を集めました。 従来は、それぞれ独自の戦略で開発を進めていた三社が、PowerPCの開発で協調路線を歩み始めた背景には、マイクロソフトとインテルによる「Wintel」連合の市場席巻がありました。PowerPCは、このWintel連合に対抗し、コンピューター業界の勢力図を塗り替える切り札として期待されていたのです。
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処理を速くする並列処理の技術

- 並列処理とは並列処理とは、複数の処理を同時に実行することで、処理にかかる時間を大幅に短縮する技術です。従来の処理方法である逐次処理では、一つの処理が終わってから次の処理に進むため、処理の量が増えるほど、完了までに長い時間がかかっていました。例えば、10個の荷物を一つずつ運ぶことを考えてみましょう。荷物を運ぶ人が一人しかいない場合、10個全てを運び終えるには、10往復分の時間がかかります。しかし、荷物を運ぶ人が二人いれば、同時に5個ずつ運ぶことができ、移動時間は半分に短縮されます。並列処理は、まさにこの「二人で荷物を運ぶ」ように、複数の処理装置(プロセッサやコアなど)を使って、複数の処理を同時並行で進めることで処理時間の短縮を実現します。 複雑な計算や膨大なデータの処理など、従来は時間のかかっていた作業を効率化できるため、近年注目を集めている技術です。
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スレッド: 複数分野で使われる用語の意味とは?

- スレッドの基本的な意味とは? 「スレッド」は、英語の「thread」を語源とし、糸や紐を意味します。ITの分野では、複数の要素が糸のようにつながる様子を表す際に使われます。大きく分けて、インターネット上のやり取りと、コンピューター内部の処理という二つの場面で使用されます。 インターネット上では、主に掲示板やSNSといったサービスにおいて、特定の話題に関する投稿と、それに対する返信の連なりを指して「スレッド」と呼びます。最初の投稿を起点として、関連するコメントが次々と付け加えられていく様子は、まるで糸に beads(ビーズ) を通していくように見受けられます。このように、インターネット上のスレッドは、関連する情報を一か所にまとめ、議論を深めたり、情報を共有したりする上で役立ちます。 一方、コンピューター内部の処理においては、プログラムを実行する際に、処理の流れを分割し、並行して進めるための単位を「スレッド」と呼びます。一つのプログラムを複数のスレッドに分割することで、複数の処理を同時進行させることが可能となり、処理速度の向上や効率化に繋がります。 このように、「スレッド」という言葉は、ITの分野において、文脈によって異なる意味を持つため、注意が必要です。
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ICカードの先駆け!スマートカードってどんなもの?

電車に乗るときや、お店で支払いをするときに使うICカード。とても便利ですが、一口にICカードと言っても様々な種類があることをご存知でしょうか? ICカードは大きく二つに分けることができます。一つは、ICチップに情報を記録するだけのものです。もう一つは、情報を処理する機能を持つものです。 私たちが普段、電車に乗るときに使っているSuicaやPASMOなどは、実は情報を記録することしかできません。電車に乗った履歴などは、駅の改札機といった読み取り機側で処理されています。 一方で、処理機能を持つICカードは、情報を処理する能力を持っているため、より複雑な処理を行うことができます。例えば、クレジットカードの決済処理や、個人認証といったことをカード自身で行うことができます。 このように、ICカードには様々な種類があり、それぞれ異なる特徴を持っています。自分に合ったICカードを選ぶことが、より便利で快適な生活を送るために大切と言えるでしょう。
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SPARC: ワークステーションを支えたCPUアーキテクチャ

- 革新的なCPU設計1985年、サン・マイクロシステムズによって生み出されたSPARCは、それまでのCPU設計の常識を覆す革新的なマイクロプロセッサでした。従来のCPU設計では、複雑な命令セットを多数用意することで、様々な処理に対応できるようにしていました。しかし、この複雑さが処理速度の低下を招く要因の一つでもありました。そこで登場したのが、「縮小命令セットコンピュータ」を意味するRISCという考え方です。RISCは、CPUが実行する命令の種類を必要最小限に絞り込み、命令の処理を単純化することで高速化を実現するというものです。SPARCは、このRISCの考え方を採用し、従来のCPU設計に比べて命令数を大幅に減らしました。その結果、処理速度が飛躍的に向上し、当時としては画期的な性能を誇るCPUとして登場しました。この革新的な設計は、その後のCPU開発に大きな影響を与え、今日の高性能なコンピュータの実現に大きく貢献しています。
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アセンブリ言語: コンピュータと対話する基礎

- アセンブリ言語とはコンピュータは内部では0と1の信号で動作しています。しかし、人間が0と1の羅列を直接扱うのは非常に困難です。そこで、人間が理解しやすい記号を使ってプログラムを記述できるようにするために、様々なプログラミング言語が開発されました。その中でも、コンピュータの頭脳であるCPUに直接指示を与えることができるのがアセンブリ言語です。アセンブリ言語では、命令を表現するのに「加算」「移動」「分岐」といった人間にも分かりやすい記号(ニーモニックと呼ばれます)を用います。しかし、これらの記号はCPUが直接理解できる言葉ではありません。そこで、アセンブラと呼ばれるソフトウェアが、アセンブリ言語で書かれたプログラムを、CPUが理解できる0と1の信号列に変換します。アセンブリ言語はCPUの構造に密接に関係しているため、CPUの種類ごとに異なるアセンブリ言語が使われることがあります。そのため、他のプログラミング言語と比べて習得が難しいとされています。しかし、その分、コンピュータの資源を効率的に使うプログラムを作成したり、ハードウェアを直接制御するプログラムを作成したりすることが可能になります。現在では、C言語やJavaといったより人間にとって扱いやすいプログラミング言語が主流となっていますが、OS開発やデバイスドライバ開発など、ハードウェアに近い部分では、現在もアセンブリ言語が利用されています。
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Athlon:AMDのCPU史を語る上で欠かせない存在

1990年代後半、パソコン市場は目覚ましい発展を遂げていました。当時、CPU業界ではインテルが圧倒的な市場シェアを占めていましたが、AMDもK6シリーズで善戦を見せており、両社は熾烈な競争を繰り広げていました。しかし、インテルはPentium II、Pentium IIIといった高性能なCPUを矢継ぎ早に投入し、AMDは次第に苦しい立場に追い込まれていきます。 窮地に立たされたAMDは、起死回生を図るべく、全く新しいCPUの開発に社運を賭ける決断をします。これが、後のパソコン業界に大きな影響を与えることになるAthlonの誕生秘話です。 Athlonは、それまでのAMDのCPUとは一線を画す、革新的な設計思想に基づいて開発されました。インテルのCPUを凌駕する性能を目指し、あらゆる面で最新の技術が惜しみなく投入されました。このAMDの挑戦的な姿勢は、多くのパソコンユーザーの注目を集め、大きな期待を寄せられることとなります。
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パソコンの処理速度を決める「バスクロック」とは?

パソコン内部では、CPUやメモリ、ハードディスクといった様々な部品が連携して動作しています。これらの部品同士が情報をやり取りする際には、「バス」と呼ばれるデータ伝送路が用いられます。バスは、さながら人と人をつなぐ道路のような役割を果たし、情報の円滑な流れを支えています。 このバスにおいて、1秒間にどれだけの量のデータを送受信できるかを示す指標が「バスクロック」です。「クロック」とは、コンピュータ内部で動作のタイミングを合わせるための信号のことで、このクロックの周波数が高いほど、より多くのデータを短時間で送受信できます。 例えば、1秒間に100回データを送受信できるバスと、1秒間に1000回データを送受信できるバスでは、後者の方がより多くの情報をやり取りできます。つまり、バスクロックは、パソコン内部でのデータ伝送速度を決定づける重要な要素と言えるのです。バスクロックが高いほど、パソコン全体のパフォーマンス向上に繋がり、処理速度の向上などが期待できます。
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コンピュータの血管!バスとは?

コンピュータは、様々な部品が組み合わさって動作することで、計算やデータ処理など複雑な作業をこなしています。これらの部品は独立しているのではなく、互いに連携し合ってはじめてその能力を発揮するのです。この部品間の連携を支え、円滑なデータのやり取りを可能にしているのが、「バス」と呼ばれるデータ伝送路です。 バスは、コンピュータ内部において、CPUやメモリ、ハードディスクといった主要な装置を結ぶ重要な経路です。人間で例えるならば、全身に栄養や酸素を運ぶ血管のような役割を果たしていると言えるでしょう。CPUが処理を行うために必要なデータや、処理結果をメモリに保存する際に、バスを通してデータが転送されます。ハードディスクに保存されているデータを読み込む際にも、バスを経由してデータがやり取りされます。 このように、バスはコンピュータ内部の様々な部品をつなぎ、データ伝送の要として重要な役割を担っています。 バスの性能は、コンピュータ全体の処理速度に大きく影響するため、高速なデータ伝送が求められます。そのため、技術の進歩と共に、より高速に大量のデータを伝送できるバスが開発されています。
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オーバークロック:性能を追求する秘技とそのリスク

- オーバークロックとはコンピューターの心臓部であるCPUは、一定のリズムを刻むことで動作しています。このリズムを「クロック周波数」と呼び、1秒間に何回処理を行えるかを示す指標となっています。 つまり、クロック周波数が高いほど、CPUは多くの処理をこなせるようになり、結果としてコンピューター全体の処理速度が向上します。しかし、CPUメーカーは製品の安定性や寿命を考慮し、このクロック周波数に上限を設けています。これを「定格クロック周波数」と呼びます。オーバークロックとは、このCPUメーカーが設定した定格クロック周波数を意図的に上書きし、本来の性能以上に引き上げることを指します。 別名「クロックアップ」とも呼ばれ、処理速度の向上を目的として行われます。オーバークロックを行うことで、例えば、3Dゲームをより滑らかに動かす、動画編集ソフトの処理時間を短縮する、といった効果が期待できます。しかし、オーバークロックはCPUに負荷をかける行為であるため、発熱量の増加や最悪の場合、故障に繋がる可能性も孕んでいる点は注意が必要です。オーバークロックは、パソコンの知識や経験が求められる高度な設定ですが、成功すれば処理速度の向上という大きなメリットを得られます。
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処理速度を加速させる!アクセラレーターとは?

近年の技術革新により、私達の日常生活においてもコンピューターは欠かせないものとなりました。インターネットやスマートフォンなど、様々な場面でコンピューターは活用されており、私達は日々その恩恵を受けています。 こうしたコンピューターの性能向上に大きく貢献しているのが、「アクセラレーター」と呼ばれる技術です。アクセラレーターとは、特定の処理を高速化するための専用のハードウェアやソフトウェアを指します。コンピューターにおける処理速度の向上は、より快適なインターネット環境や、高画質動画の視聴、反応速度が求められるオンラインゲームなどを実現する上で非常に重要です。 例えば、インターネットで動画を視聴する際、コンピューターは大量の画像データを高速で処理する必要があります。処理速度が遅いと、動画が途切れたり、画質が低下したりする原因となります。アクセラレーターは、こうした画像処理などの特定の処理を肩代わりすることで、コンピューター全体の処理速度向上に貢献します。 また、近年注目を集めている人工知能(AI)の分野においても、アクセラレーターは重要な役割を担っています。AIの学習や推論処理には膨大な計算量が必要となるため、アクセラレーターによる高速化が不可欠です。アクセラレーターの進化は、AI技術の進歩を支え、私達の生活をより豊かにする可能性を秘めていると言えるでしょう。
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コンピューターの要!ハードウェアを解説

- ハードウェアとは 「ハードウェア」とは、コンピュータを構成する、目に見える部品全体のことを指します。 皆さんが普段使っているパソコンも、分解してみると、たくさんの部品で構成されていることが分かります。 例えば、文字を入力するためのキーボード、画面に情報を表示するディスプレイ、データ処理を行う本体など、これらは全てハードウェアです。 スマートフォンやプリンターなども、同じように多くの部品からできています。 これらの部品は、それぞれ役割が異なり、組み合わさることでコンピュータとして動作します。 ハードウェアは、いわばコンピュータの「体」と言えるでしょう。 ハードウェアは、大きく分けて「入力装置」「出力装置」「記憶装置」「演算装置」「制御装置」の5つに分類されます。 キーボードやマウスのように、人間がコンピュータに指示を与えるための装置を入力装置、ディスプレイやプリンターのように、コンピュータからの情報を人間が認識できる形式に変換する装置を出力装置と呼びます。 また、情報を記憶しておくための装置が記憶装置、計算処理を行う装置が演算装置、そして、全体を制御するのが制御装置です。 これらの装置が連携することで、コンピュータは様々な処理を行うことができるのです。
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命令セットアーキテクチャとは?

- 命令セットアーキテクチャの概要コンピュータの中枢を担うCPUは、ソフトウェアからの指示を理解し、処理を実行します。しかし、CPUは人間の言葉や複雑なプログラムを直接理解することはできません。そこで、CPUが理解できる言葉である「命令セットアーキテクチャ」が必要となります。命令セットアーキテクチャとは、CPUが解釈し、実行できる基本的な命令をまとめたものです。これらの命令は、データの処理、メモリの読み書き、プログラムの流れの制御など、コンピュータの基本的な動作を網羅しています。CPUは、ソフトウェアから受け取ったプログラムを、この命令セットに基づいて解釈し、一つ一つの命令を順番に実行していきます。 例えば、「1+1を計算する」という単純な処理であっても、CPUは命令セットに従って、メモリからデータを読み込み、加算処理を行い、結果を再びメモリに書き込む、といった一連の命令を実行します。この命令セットは、CPUの設計図のような役割を果たし、ハードウェアとソフトウェアの橋渡し的存在と言えます。 ソフトウェア開発者は、CPUがどのような命令セットを理解できるかを意識しながらプログラムを作成し、CPUはその命令セットに従って忠実にプログラムを実行します。このように、命令セットアーキテクチャは、コンピュータが正常に動作するために欠かせない要素の一つであり、コンピュータの性能や機能を大きく左右する重要な要素と言えるでしょう。
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コンピューターの頭脳を動かす命令セット

- 命令セットとは コンピューターの心臓部である中央処理装置(CPU)は、膨大な数の電子部品で構成され、複雑な計算やデータ処理を行っています。しかし、CPU自身は人間が理解できる言葉や記号を直接理解することはできません。そこで登場するのが「命令セット」です。 命令セットとは、CPUに対して具体的な動作を指示するための言葉の集まりと言えます。人間が日本語や英語でコミュニケーションをとるように、CPUは命令セットに含まれる命令語によって指示を受け取ります。命令セットに含まれる個々の命令は、非常に単純な動作を指示します。例えば、「特定のメモリー上のデータを読み込む」「二つの数値を加算する」「計算結果を別の場所に保存する」といった具合です。 CPUは、あらかじめ決められた順番でこれらの命令を一つずつ読み込み、実行していきます。プログラムは、これらの単純な命令を組み合わせることで、複雑な処理を実現します。命令セットはCPUの設計思想を反映しており、CPUの種類によって異なります。そのため、あるCPUで動作するプログラムを別の種類のCPUで実行するためには、命令セットの違いを吸収する必要があります。 命令セットは、CPUと人間をつなぐ共通言語と言えるでしょう。CPUの性能や特性を理解し、効率的にプログラムを開発するためには、命令セットに関する知識が欠かせません。
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パソコンの歴史を支えた86系アーキテクチャ

- 86系とは?86系とは、1978年にアメリカのインテル社が開発したCPU「8086」と、その互換性を持つCPUの系統を指す言葉です。 それまでのCPUは8ビットが主流でしたが、8086は倍の16ビットのデータを一度に処理できる画期的なCPUとして登場しました。 この画期的なCPUは、後にアメリカのIBM社が開発したパーソナルコンピュータに採用されたことをきっかけに、爆発的に普及しました。 8086の登場とその後の普及は、本格的なパーソナルコンピュータ時代の幕開けを告げ、世界中のコンピュータの歴史に大きな影響を与えたと言えるでしょう。 また、8086は互換性を重視した設計がなされていたため、様々なメーカーが互換CPUを開発・販売しました。 その結果、8086の設計思想を受け継ぐCPUは「x86アーキテクチャ」と呼ばれるようになり、現在でも多くのパーソナルコンピュータやサーバー等で採用されています。 8086は、現代のコンピュータ社会の礎を築いたCPUと言えるでしょう。
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パソコンの歴史を支えたCPU、80486とは?

1980年代後半から1990年代前半にかけて、パソコンの世界は大きな変化を遂げていました。処理速度の向上、記憶容量の増加、そしてソフトウェアの進化など、日進月歩の勢いで発展を続けていたのです。そんな中、インテル社が開発したx86系CPUは、パソコンの心臓部として業界をリードしていました。 1989年、インテル社はx86系CPUの新たな世代として「80486」を世に送り出しました。このCPUは、先行する「80386」の後継機種として開発され、当時のパソコンの性能を飛躍的に向上させるものでした。従来のCPUと比べて処理速度が大幅に向上しただけでなく、新たにメモリ管理機能や浮動小数点演算機能を内蔵したことで、より複雑で大規模な処理が可能となりました。 「80486」の登場は、パソコン業界に大きな衝撃を与えました。処理能力の向上は、より高度なソフトウェアの開発を促進し、パソコンの用途を大きく広げることになったのです。例えば、従来は不可能だった動画編集や3次元グラフィックス処理なども、「80486」搭載のパソコンでは実現可能となり、クリエイティブな分野への進出も加速しました。 こうして「80486」は、その革新的な性能によって、1990年代のパソコン業界を牽引する存在となりました。そして、その後のパソコンの発展にも大きな影響を与え続けることになります。
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パソコンの歴史を作ったCPU、8086とは

1978年、インテル社から画期的なマイクロプロセッサ「8086」が発表されました。8086は、それまでのマイクロプロセッサと比較して処理能力が飛躍的に向上しており、後のパーソナルコンピュータの普及に大きく貢献することとなりました。 8086の大きな特徴の一つに、16ビットのデータバス幅を持っていたことが挙げられます。これは、一度に16ビットのデータを処理できることを意味し、8ビットマイクロプロセッサに比べて約2倍の処理速度を実現していました。また、8086は最大で1メガバイトものメモリ空間を扱うことができました。これは、当時のマイクロプロセッサとしては画期的な容量であり、大規模なプログラムを実行することを可能にしました。 さらに、8086はセグメント方式と呼ばれる独自のメモリ管理方式を採用していました。これは、メモリ空間を複数のセグメントに分割して管理する方式であり、限られたメモリ空間を効率的に利用することを可能にしました。このセグメント方式は、後のインテル製マイクロプロセッサにも受け継がれ、今日のコンピュータシステムにも影響を与えています。
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パソコンの歴史を変えたCPU、80286

- 80286とは1982年、アメリカのインテル社から発表されたマイクロプロセッサー「80286」。今ではほとんど見かけることはありませんが、パソコンの進化を語る上で、決して忘れてはいけない存在です。80286は、インテルがそれまで開発していた16ビットマイクロプロセッサー「8086」の後を継ぐ存在として登場しました。8086と比較して処理能力が格段に向上し、扱えるメモリの容量も大幅に増加しました。この進歩が、当時のパソコンの性能向上に大きく貢献したのです。80286の大きな特徴の一つに、「プロテクトモード」と呼ばれる機能の搭載があります。これは、複数のプログラムを同時に実行する際に、それぞれのプログラムが干渉し合うことを防ぎ、安定した動作を実現するための機能です。この機能により、80286は、より複雑で大規模な処理を安全に行えるようになりました。80286は、その後登場する、より高性能なマイクロプロセッサーの礎を築きました。そして、80286を搭載したパソコンの普及は、個人が気軽にパソコンを使うことができる時代へと繋がっていったのです。
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パソコンの歴史を支えたCPU:80386

- 「80386」とは 「80386」は、アメリカのインテル社が開発し、1985年に発表した32ビットマイクロプロセッサです。 それまでのコンピュータに使用されていた16ビットプロセッサに比べて、格段に処理能力が向上したことから、パソコンの性能を飛躍的に向上させました。このことが評価され、世界中のパソコンメーカーがこぞって採用したため、「80386」は、その後のパソコン時代の礎を築いたCPUとして知られています。 「80386」は、それまでの16ビットCPUと比べて、一度に扱えるデータ量が大幅に増加しました。また、扱えるメモリの容量も大幅に増加したため、より大規模で複雑なプログラムを実行することが可能になりました。 これにより、それまで大型コンピュータでしか実行できなかったような高度な処理が、パソコンでも実行できるようになったのです。 「80386」の登場により、パソコンは、より高性能なソフトウェアを実行できるようになり、ビジネスや家庭での利用が急速に拡大しました。 例えば、表計算ソフトやワープロソフトなどが爆発的に普及し、パソコンは、ビジネスの現場においても不可欠なツールとなっていったのです。 このように、「80386」は、パソコンの歴史において非常に重要な役割を果たしたCPUであり、その影響は、今日のコンピュータにも受け継がれています。
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パソコンの心臓部、80×86とは?

「80x86」と聞いても、何のことかピンとこない方がほとんどでしょう。しかし、それはパソコンにとって、人間でいう脳みそにあたるCPUの設計図のようなものなのです。 CPUは、パソコンに計算やデータ処理など様々な作業をさせるために無くてはならない部品です。人間が言葉で指示を出すように、CPUにも命令を与えなければなりませんが、その命令を理解し、実行するための設計思想が「アーキテクチャ」と呼ばれるものです。「80x86」は、そのアーキテクチャの一つなのです。 「80x86」は、インテルという会社が開発した「8086」というCPUから始まりました。「8086」は、1978年に発表され、当時のパソコンに革命をもたらしたと言われています。その後も改良が重ねられ、「80286」「80386」(386として有名ですね)、「80486」(486)、そしてPentium(ペンティアム)へと進化していきました。これらのCPUは、いずれも「80x86」アーキテクチャを継承しており、互換性を保ちながら性能を向上させてきました。 現在のパソコンやスマートフォンに使われているCPUの多くは、「80x86」アーキテクチャを基に発展したものです。つまり、「80x86」は、現代のコンピュータ社会を支える重要な技術の一つと言えるでしょう。
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パソコンの歴史を彩るCPU「i486」

1980年代後半は、パソコンが人々の生活に入り込み始めた時代でした。処理速度の向上やメモリ容量の増加など、より高性能なパソコンを求める声が日増しに高まっていました。そうした時代の要求に応えるように、インテルは1985年、それまでの16ビットCPUから大きく進化した32ビットマイクロプロセッサー「i386」を世に送り出しました。「i386」は、従来のCPUと比較して飛躍的に処理能力が向上しており、パソコンの性能向上に大きく貢献しました。 しかし、技術の進歩は止まることを知りません。人々のパソコンへの期待は高まり続け、「i386」でも処理が追い付かない、さらに高速な処理を求める声が次第に大きくなっていきました。そこでインテルは、「i386」の開発で培った技術を基に、さらに高性能なマイクロプロセッサーの開発に着手することを決定しました。このプロジェクトこそが、後に「i486」と呼ばれることになる、新たなCPU開発の始まりだったのです。
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ノンプリエンプティブマルチタスク:懐かしのパソコン動作方式

- 複数のソフトを同時実行? 皆さんは、パソコンで仕事や趣味をするとき、複数のアプリケーションソフトを同時に使いたいと思ったことはありませんか?例えば、文章を書きながらインターネットで情報を調べたり、音楽を聴きながらプレゼンテーション資料を作成したり。こうした複数の作業を同時に行うことを可能にするのが「マルチタスク」という技術です。 今では、マルチタスクはパソコンにとって当たり前の機能となっていますが、初期のパソコンでは、一度に一つのソフトしか実行できませんでした。そこから技術が進歩し、様々な方法でマルチタスクを実現するようになりました。 今回は、初期のパソコンで採用されていた「ノンプリエンプティブマルチタスク」という方式について解説します。この方式では、実行中のソフト自身が、他のソフトに処理を交代するタイミングを決めなければなりませんでした。しかし、この方法には、あるソフトが処理を譲らず、他のソフトが実行できない状態になってしまうという欠点がありました。 このように、初期のマルチタスクは、現在のようにスムーズな動作を実現するまでには、様々な試行錯誤が繰り返されてきたのです。
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現代コンピューターの基礎、ノイマン型コンピューターとは?

- ノイマン型コンピューターの構成 現代のコンピューターのほとんどが、ある設計思想に基づいて作られています。それが「ノイマン型コンピューター」です。ノイマン型コンピューターは、コンピューターの基本的な構造を定めたもので、プログラムとデータをどちらもメモリ上に格納するという画期的なアイデアを特徴としています。このアイデアにより、コンピューターはプログラムを柔軟に変更できるようになり、様々な処理に対応できるようになりました。 ノイマン型コンピューターは、具体的には五つの要素で構成されます。 まず、計算処理を担う「演算装置」があります。演算装置は、足し算や掛け算といった計算を高速で行うことができます。次に、プログラムに基づいて各装置を制御する役割を担う「制御装置」があります。制御装置は、プログラムの指示を読み取り、必要なデータを取得して演算装置に計算を指示するなど、コンピューター全体の動作を制御します。 そして、プログラムやデータを格納する「記憶装置」があります。記憶装置には、処理に必要なプログラムやデータが一時的に保管され、必要なときに取り出されます。 さらに、外部からデータを入力するための「入力装置」と、処理結果を出力するための「出力装置」があります。入力装置としてはキーボードやマウス、出力装置としてはディスプレイやプリンターなどが挙げられます。 これらの五つの要素が連携して動作することで、コンピューターは様々な処理を実行することができるのです。
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ノイマン型計算機:コンピューターの基本構造

ノイマン型計算機とは、プログラムとデータを一つの記憶装置に格納し、命令を順番に実行していくという画期的な構造を持つコンピューターのことです。この革新的な概念は、1945年に数学者であるジョン・フォン・ノイマンによって提唱されました。それまでのコンピューターは、プログラムを実行するたびに配線を変える必要があり、非常に時間と手間がかかっていました。しかし、ノイマン型計算機では、プログラムもデータもすべて数字として同じ記憶装置に格納されます。そして、制御装置が記憶装置から命令とデータを順番に取り出しながら、計算を実行していくのです。この仕組みにより、プログラムの変更が容易になり、コンピューターの汎用性が飛躍的に向上しました。現代のコンピューターのほとんどは、このノイマン型計算機の原理に基づいて設計されており、私たちの生活に欠かせない存在となっています。