
プロセス間通信:並行処理を支える技術
- プロセス間通信とは
コンピュータ上で、私達が普段使うソフトウェアやアプリケーションは、実は「プロセス」と呼ばれる単位で動作しています。プロセスとは、簡単に言うと、実行中のプログラムのことです。それぞれのプロセスは、他のプロセスから隔離された自分専用のメモリ空間を持っています。これは、あるプロセスが誤動作を起こした場合でも、他のプロセスやシステム全体に影響が及ぶのを防ぐためです。
しかし、プロセスが完全に独立してしまうと、異なるプログラム同士で情報を共有したり、連携して動作することができません。例えば、Webブラウザで表示している画像データを、画像編集ソフトで加工したい場合などには、それぞれのプロセス間でデータのやり取りが必要になります。
そこで登場するのが「プロセス間通信(IPC)」です。 IPCとは、複数のプロセス間でデータのやり取りを行うための仕組みです。 IPCを利用することで、異なるプロセス間でも安全かつ効率的に情報を共有し、連携して動作させることができます。
IPCには、パイプや共有メモリ、メッセージキューなど、様々な種類があります。それぞれの方法には、処理速度やデータ量、実装の複雑さなど、異なる特徴があります。そのため、開発するシステムの要件に合わせて、最適なIPCを選択することが重要になります。