
複数処理の力:MPで性能向上
計算機で何か作業をする時、作業の手順書のようなものをプログラムと言います。このプログラムを実行するのが処理装置、つまり計算機の中心部品です。この部品のことを中央処理装置と呼ぶこともあります。複数処理とは、この処理装置を複数使って、複数のプログラムを同時に実行する技術のことです。
一つの処理装置で、複数のプログラムを少しずつ順番に実行する方法もありますが、処理装置が複数あれば、それぞれの処理装置が別々のプログラムを同時に実行できるので、全体の作業時間が大幅に短縮されます。例えば、一人でたくさんの料理を作るよりも、複数人で分担して作った方が早く終わるのと同じです。
一つの処理装置で複数のプログラムを扱う場合、実際にはごく短い時間でプログラムを切り替えながら処理しているため、見かけ上は同時に動いているように見えます。しかし、実際には一つの処理装置で順番に処理しているため、真の意味で同時ではありません。複数処理では、複数の処理装置がそれぞれ別のプログラムを同時に実行するので、処理速度の向上効果がより大きくなります。
複雑な計算や膨大な量の情報を扱う場合、一つの処理装置だけでは時間がかかってしまいます。このような場合に複数処理は特に有効です。例えば、天気予報や科学技術計算、画像や動画の編集などは、膨大な量の計算を必要とするため、複数処理技術が広く使われています。複数処理によって、今まで何日もかかっていた計算が数時間で終わるようになるなど、様々な分野で作業効率の向上が実現しています。