MS-DOS

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開発

シングルタスク:昔のコンピューターの仕組み

シングルタスクとは、計算機が一度に一つの作業しか処理できない方式のことを指します。現代では、文章を書きながら音楽を聴き、同時にインターネットで調べ物をするといった作業が当たり前のように行われています。しかし、計算機の性能が限られていた時代には、このような作業は夢のような話でした。当時の計算機は、シングルタスク方式で動作していました。 たとえば、文章を作成している最中に、他の書類を開いたり、ましてや音楽を聴いたりすることは不可能でした。一つの作業に計算機の全能力が注がれるため、他の作業を行う余力は残されていなかったのです。もし、他の作業を行いたい場合は、現在行っている作業を一旦保存して終了させ、それから次の作業を始める必要がありました。これは、現代の我々から見ると非常に手間のかかる方法に思えるかもしれません。しかし、当時はそれが当たり前のことであり、人々はその制約の中で工夫を凝らして作業を行っていました。 限られた計算機の能力を最大限に活用するため、人々は作業の手順を綿密に計画し、効率的な作業方法を模索しました。一つの作業に集中することで、作業の質を高めることにも繋がっていたのかもしれません。シングルタスク方式は、一見すると非効率的に見えますが、当時の技術的な制約の中で生まれた工夫であり、計算機の歴史を語る上で重要な要素です。現代のマルチタスク方式の礎を築いたのは、他でもないこのシングルタスク方式であり、その理解は現代の計算機技術をより深く理解するためにも欠かせないと言えるでしょう。
その他

懐かしいDOSの世界

コンピュータの黎明期、欠かすことのできない存在であったのが、ディスクオペレーティングシステム(略してDOS)です。特に、マイクロソフト社が開発したMS-DOSは、家庭用コンピュータの普及に大きく貢献しました。 当時のコンピュータの画面は、黒地に白文字の簡素なものでした。現在のように画面上で絵を選んで操作するのではなく、キーボードから命令を入力することでコンピュータを動かしていました。この命令のことを、コマンドと呼びます。決められたコマンドを正確に入力する必要があったため、一見すると難しい操作に思えるかもしれません。しかし、このシンプルな操作体系こそが、コンピュータの仕組みを理解する上で非常に重要な役割を果たしていたのです。 マウス操作が主流となった現代の操作方法とは大きく異なります。画面上の絵記号をクリックするだけで様々な操作ができる現代の環境に慣れた人にとっては、コマンドを一つ一つ入力していく操作は、面倒で複雑に感じるかもしれません。しかし、DOSの操作では、コンピュータ内部で何が起こっているのかを意識しながら作業を行う必要があったため、自然とコンピュータの仕組みに対する理解が深まりました。 かつてコンピュータに少しでも触れたことのある人であれば、あの黒い画面に白い文字が点滅する光景、そしてキーボードを叩く音、独特の操作感を懐かしく思い出すのではないでしょうか。それは単なる懐古趣味ではなく、コンピュータ黎明期の熱気と、試行錯誤しながらコンピュータを操っていた時代への郷愁なのかもしれません。
インフラ

MS-DOS:パソコン普及の立役者

- MS-DOSとはMS-DOSは、1981年にマイクロソフト社によって開発された、パソコン向けの基本ソフトウェアです。 MS-DOSは「Microsoft Disk Operating System」の略称で、日本語では「マイクロソフト・ディスク・オペレーティング・システム」と呼ばれます。当時のパソコンは、まだ一般に普及しておらず、専門的な知識を持った人が限られた用途で使うものでした。画面表示も、今のように文字や画像が自由に表示されるわけではなく、白黒の画面に文字だけが羅列されるというシンプルなものでした。そんな中、IBM社が発売したIBM PCと呼ばれるパソコンに、このMS-DOSが採用されたことで状況は大きく変わりました。IBM PCは爆発的な人気となり、MS-DOSを搭載したパソコンが世界中に普及しました。 人々は、キーボードを使ってMS-DOSにコマンドを入力することで、パソコンを操作していました。MS-DOSは、その後のWindowsの成功にも大きく貢献しました。Windowsは、MS-DOSの上で動くグラフィカルな操作環境を提供することで、より多くの人がパソコンを簡単に使えるようにしたものと言えます。現在では、MS-DOSはWindowsに取って代わられましたが、パソコンの歴史において重要な役割を果たしたソフトウェアの一つとして、その名を残しています。
インフラ

Windows 3.1: GUI時代の到来

1992年、マイクロソフト社から画期的なパソコン用基本ソフト、Windows 3.1が発売されました。これは、それまでのパソコンの操作方法を大きく変えるものでした。Windows 3.1が登場するまで、多くの人はMS-DOSという、黒い画面に文字を入力して操作する基本ソフトを使っていました。しかし、Windows 3.1は、画面上に表示された小さな絵をマウスを使って動かすだけで操作できる、視覚的にわかりやすい新しい操作画面を採用していました。 この感覚的に理解しやすい操作方法は、多くの人々に受け入れられ、パソコンが広く普及する大きなきっかけとなりました。従来のパソコンは、専門知識を持った一部の人たちだけが使う道具というイメージでしたが、Windows 3.1の登場により、子供から大人まで、誰でも簡単に使えるものへと変化していきました。そして、このWindows 3.1の成功が、その後のWindows 95やWindows XPといった、世界中で使われることになる革新的な基本ソフトへと繋がる礎となりました。
ハードウエア

パソコン普及の立役者、IBM PC/AT

- IBM PC/ATとは1984年、IBM社から発売された「IBM PC/AT」は、それまでのパソコンの常識を覆す画期的な製品でした。「AT」とは「アドバンスト・テクノロジー」の略であり、その名の通り、前機種である「IBM PC」と比べて格段に性能が向上していました。最大の特徴は、16ビットの処理能力を持つ「インテル80286」プロセッサを搭載したことです。これにより、従来の8ビットパソコンと比べて処理速度が飛躍的に向上し、より複雑な計算や大量のデータ処理が可能になりました。また、メモリ容量やハードディスク容量も大幅に増加し、より多くの情報を扱えるようになりました。IBM PC/ATの登場は、ビジネスシーンに大きな変化をもたらしました。従来の大型コンピュータでは不可能だった、文書作成や表計算などの事務処理が、個人のデスクトップで手軽に行えるようになったのです。このことから、企業は業務の効率化を図るため、こぞってIBM PC/ATを導入しました。そして、多くの企業に導入されたことで、IBM PC/ATはパソコンの業界標準としての地位を確立し、その後のパソコン普及に大きく貢献したのです。