PC/AT互換機

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PS/2コネクタとその歴史

PS/2つなぎ口は、かつて広く使われていたキーボードとマウスをつなぐための入り口です。丸くて小さな形で、6つの金属の接点を持つミニDINつなぎ口と呼ばれる種類です。色は紫色と緑色に分けられており、紫はキーボード、緑はマウスと決まっていました。 このつなぎ口の名前の由来は、1987年に発表された「PS/2」という名前の事務用計算機にあります。この機械で初めてこのつなぎ口が使われたため、「PS/2つなぎ口」と呼ばれるようになりました。PS/2が登場する前は、キーボードやマウスは、直列の入り口や、それぞれの機器専用の入り口につながれていました。しかし、PS/2の登場によって、これらの機器をもっと手軽につなぐことができるようになりました。 PS/2つなぎ口は、小さくて扱いやすいという特徴がありました。そのため、長い間、多くの事務用計算機で使われてきました。PS/2の登場により、事務用計算機の使い勝手は大きく向上しました。複雑な設定を必要とせず、誰でも簡単にキーボードやマウスを利用できるようになったのです。 しかし、時代が進むにつれて、USBという新しいつなぎ口が登場しました。USBは、PS/2よりも多くの種類の機器をつなぐことができ、電力供給も可能という利点がありました。そのため、次第にUSBが主流となり、PS/2つなぎ口は姿を消していきました。現在では、ほとんどの事務用計算機でUSBが使われており、PS/2つなぎ口を見ることは少なくなりました。それでも、PS/2つなぎ口は、かつて事務用計算機の進化に大きく貢献した重要な技術の一つと言えるでしょう。
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DOS/Vの普及と日本のパソコン市場

DOS/Vとは、1990年に日本アイ・ビー・エム株式会社が発表した、家庭向け計算機の基礎となる仕組みのことです。それ以前は、日本語を使うには特別な装置や仕組みが必要で、価格も高いものでした。DOS/Vが登場する前は、計算機はどれも高価で、限られた人しか利用できませんでした。なぜなら、日本語を表示するには、特別な装置や複雑な仕組みが必要だったからです。 DOS/Vは、比較的値段の安い計算機でも日本語を扱えるように作られました。そのため、多くの製造会社がDOS/Vに対応した計算機を販売するようになりました。これにより、計算機の値段が下がり、一般家庭にも普及していくきっかけとなりました。DOS/Vの登場は、計算機の世界に大きな変化をもたらしました。今まで高価だった計算機が、より多くの人にとって手の届くものになったのです。 従来の計算機は、機種ごとに日本語表示の仕組みが異なっていました。そのため、機種が異なると同じ仕組みが使えないといった互換性の問題がありました。例えば、ある機種専用の文書作成仕組みを、別の機種では使えないといった不便さがありました。異なる会社が作った計算機同士で情報をやり取りするのは、非常に困難でした。 DOS/Vは、アメリカのマイクロソフト社が作ったMS-DOSという仕組みを基に、日本語表示の機能を追加したものです。多くの機種で同じように動くため、互換性の問題を解決しました。どの会社の計算機でも同じように使えるため、情報のやり取りがスムーズになりました。これは、まるで異なる言葉を使う人々が、共通の言葉で話せるようになったような画期的な出来事でした。 この互換性のおかげで、仕組みを作る会社が増え、様々な用途に対応した仕組みが作られるようになりました。文書作成や表計算、ゲームなど、多様な仕組みが開発され、計算機は仕事だけでなく、娯楽にも活用されるようになりました。このように、DOS/Vは、日本の計算機市場に大きな変化をもたらしました。DOS/Vの登場によって、計算機は専門家だけの道具ではなく、誰もが使える便利な道具へと変化していったのです。
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ATX:パソコンの進化を支えた規格

- ATXとは ATXは、パソコンの部品を載せる土台となる「マザーボード」の規格の一つです。マザーボードは、パソコンの頭脳であるCPUや記憶装置であるメモリ、機能を拡張する拡張カードなど、パソコンを動かすために欠かせない部品を取り付ける基盤です。 ATXは、このマザーボードの大きさや形、部品を配置する場所などを細かく決めています。そうすることで、異なるメーカーの部品でも、ATX規格に準拠していれば、組み合わせることができるようになります。 例えば、CPUを別のものに取り替えたい場合でも、ATX規格のマザーボードであれば、同じ規格のCPUを選べば問題なく交換できます。このように、ATXは部品の互換性を高めることで、パソコンを組み立てる際に、部品選びに迷ったり、取り付けに苦労したりすることを減らしてくれるのです。 ATXは、現在最も広く普及しているマザーボードの規格であり、多くのパソコンメーカーが採用しています。パソコンを自作する場合や、パーツを交換する場合には、ATX規格について理解しておくと、スムーズに作業を進めることができます。
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パソコン業界の標準!PC/AT互換機とは?

1980年代初頭、事務作業を効率化する機械として登場したパーソナルコンピュータ「IBM PC」は、瞬く間に世界中に広まりました。特に、多くの企業がこぞってIBM PCを導入し、ビジネスシーンにおいて欠かせない存在となりました。 その後の1984年、IBMは「IBM PC/AT」という新しい機種を発売します。このIBM PC/ATは、従来のIBM PCと比べて処理速度や記憶容量が飛躍的に向上しており、より多くの情報をより速く処理することが可能となりました。この進化は、企業の業務効率をさらに向上させる可能性を秘めており、多くの企業がこぞってIBM PC/ATを導入していきました。 このIBM PC/ATの登場と普及に伴い、IBM PC/ATと互換性を持つように作られたパーソナルコンピュータが登場しました。これが「PC/AT互換機」と呼ばれるものです。PC/AT互換機は、IBM PC/ATと同じように動作するため、IBM PC/AT向けに作られたソフトウェアをそのまま利用することができました。
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パソコンの歴史を変えたCPU、80286

- 80286とは1982年、アメリカのインテル社から発表されたマイクロプロセッサー「80286」。今ではほとんど見かけることはありませんが、パソコンの進化を語る上で、決して忘れてはいけない存在です。80286は、インテルがそれまで開発していた16ビットマイクロプロセッサー「8086」の後を継ぐ存在として登場しました。8086と比較して処理能力が格段に向上し、扱えるメモリの容量も大幅に増加しました。この進歩が、当時のパソコンの性能向上に大きく貢献したのです。80286の大きな特徴の一つに、「プロテクトモード」と呼ばれる機能の搭載があります。これは、複数のプログラムを同時に実行する際に、それぞれのプログラムが干渉し合うことを防ぎ、安定した動作を実現するための機能です。この機能により、80286は、より複雑で大規模な処理を安全に行えるようになりました。80286は、その後登場する、より高性能なマイクロプロセッサーの礎を築きました。そして、80286を搭載したパソコンの普及は、個人が気軽にパソコンを使うことができる時代へと繋がっていったのです。