QWERTY

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ハードウエア

ドボラック配列:タイピングの革命

私たちが日々何気なく使っているキーボード。その文字の配置は、長い歴史の中で移り変わってきました。キーボードの始まりとも言えるタイプライターの時代、印字に使うアームが互いにぶつからないように、よく使う文字をあえて離して配置していました。これが、現在世界中で広く使われているQWERTY配列の始まりです。 QWERTY配列は、キーボードの左上に並ぶQ、W、E、R、T、Yの6つの文字から名付けられました。タイプライターの構造上の都合から生まれた配列のため、必ずしも速く文字を打てるようには作られていません。実際に、よく使う文字が打ちにくい場所に配置されていたり、左右の手の負担が均等でなかったりと、様々な問題点が指摘されていました。 そこで登場したのが、ドボラック配列です。この配列は、人間の手の動きや文字の使用頻度を細かく分析し、より自然に、より効率的に文字を打てるように設計されました。具体的には、ホームポジションに指を置いたまま打ちやすい場所に、使用頻度の高い文字を集めて配置しています。また、左右の手をバランスよく使えるように工夫されており、長時間の入力作業でも疲れにくいのが特徴です。 ドボラック配列は、QWERTY配列よりもタイピングの速度や正確さを向上させる可能性を秘めていると言われています。しかし、すでに世界中にQWERTY配列が普及しているため、ドボラック配列への移行はなかなか進んでいません。それでも、タイピングの効率性を追求する人々の中には、ドボラック配列を採用する人も少なくありません。キーボードの配列は、単なる文字の並びではなく、歴史と技術の積み重ねによって生まれた、奥深い世界なのです。