
TRONプロジェクト:ユビキタス社会の構築
TRON(トロン)計画とは、私たちの暮らしをより豊かに、より便利にすることを目指す、壮大な構想です。1984年に、東京大学の坂村健教授によって提唱されました。TRONは、"The Real-time Operating system Nucleus"の略語ですが、計画の目的は、単にコンピューターの制御プログラムを作ることに留まりません。私たちの生活空間全体をコンピューターで包み込み、人間中心の高度情報化社会を築き上げることが目標です。まるで夢物語のような世界を実現しようとする、野心的な計画と言えるでしょう。
具体的には、家電製品や自動車、公共施設の設備など、身の回りのあらゆる機器にコンピューターを組み込み、それらをネットワークで繋ぐことで、生活を様々な側面から支援する社会を目指しています。例えば、冷蔵庫が食品の在庫を管理し、賞味期限が近づくと自動的に買い物リストを作成してくれたり、家の照明やエアコンが私たちの生活パターンに合わせて自動的に調整してくれたり、といった具合です。TRON計画では、こうした機器が互いに情報を交換し、連携することで、より快適で効率的な生活を実現できると考えています。
TRON計画の特徴の一つは、人間中心の設計思想です。コンピューターはあくまでも道具であり、人間が使いやすいように設計されるべきだと考えています。そのため、TRON計画では、直感的で分かりやすい操作体系の開発にも力を入れています。
TRON計画は、未来の社会基盤を構築する計画と言えるでしょう。あらゆる機器がネットワークで繋がることで、私たちの生活は大きく変わると期待されています。TRON計画は、まさに未来社会の設計図なのです。